養命酒飲んでみた
まずこのエッセイに書いてある養命酒の効能については、あくまでわたし金澤流都が体験したことであって、確実にこういう効果がある、と断言できるものではないことを示しておきたい。
それから月経前症候群とかそういう話題も出てくるので、えっそういう露骨な話すんのかいと思われた方にはオススメできない。あとは自己責任でお読みいただけたらと思う。
冷え性が、すごいんである。
寒すぎて熱を出すレベルの冷え性なんである。ひどいときは平熱が37度。しんどい。しんどすぎる。大昔、熱が出ると内科に行ったがどこも悪くないと言われてしまった。
これはおそらく根本的には婦人科にいかねばなんともならないと思うのだが、悲しいことにわたしの住んでいる街にある婦人科は基本的に「産婦人科」で、たぶんわたしが行っても「産めるときに産んどかないからそうなるんだ」と医者に叱られて終わりだと思う。
以前頻尿についても書いたが、おそらくそれも冷えから来ているのだろうと思われる。なのでいつもカイロを貼って寝ていたのだがしかしそうやって毎日カイロを消費していてはもったいないしこれも抜本的な解決策にはならない。
それ以上に問題なのは月経前症候群、つまりPMSである。毎月いつものやつが始まる一週間くらい前から精神が激しくすさみはじめる。怒鳴ったり喚いたりものを壊したりフードファイターになったりする。これも都会なら婦人科で薬を出してもらえるらしいのだがわたしのところはさきほど書いた通りの状況なので薬を出してもらうのは難しかろう。
というわけで、頼れそうなものを考えた。医者に頼るのはそもそも無理なので、なにか市販の薬でなんとかしてくれるものはないだろうか。命の母ホワイトは昔飲んだがさっぱり症状が改善しなかった。いろいろ考えたすえにたどり着いたのが養命酒だった。
別にニセ医学みたいに「養命酒すごい!」と言いたいわけではなくて、とりあえずたどり着いたのが養命酒だったのである。
そういうわけで、ドラッグストアに向かいポイントカードにたまっていた2500円ぶんのポイントを商品券に換えてもらって、それで養命酒を買ってきた。
養命酒はずっしりと重い。赤い箱に入っていて、箱にはドラゴンの頭に鳥の体の謎生物の絵と、「薬用養命酒」の文字が入っている。ローマ字で「YOMEISYU」とも書いてある。でもこれじゃ「よめいしゅ」だ。そんなことはどうでもいい。わたしは藁にも縋る気持ちで、養命酒のパッケージを開けた。
中には古風なデザインの瓶が入っていて、蓋をあけると液だれ防止の中栓がついていた。付属のちっちゃいコップに養命酒を注ぐと、心地よい「とくとくとく……」という音がする。音だけなら完全に高級なウィスキーである。ただし飲み始めて量が減ってきたらその高級ウィスキーみたいな音はしなくなってしまった。残念だ。
その、小さいコップにそそがれた茶色い汁を見る。いや茶色い汁って表現はどうなんだ。琥珀色とか言えよ。それをくいっと飲み干す。おお、意外と飲みやすい味……と思った瞬間、すさまじい「クセ」が襲ってくる。どう表現すればいいのか、おいしくないコーラというか、おいしくないこはぜ酒(こはぜというのは山で採れる田舎臭いブルーベリーみたいな木の実で、その木の実を焼酎に漬けたこはぜ酒とか、ジャムにしたこはぜジャムとか、そういうものが我が家の近辺ではよく作られている)というか、アイスクリームにかけたらおいしそうというか、いやおいしくないな、とにかくひどい味がする。うぇえええーってなるやつである。だが慣れると癖になる。どこかで聞いた話で、養命酒は酒飲みが飲み始めるとだんだん飲む量が増えるとかいう笑い話があるが、それも仕方あるまい、という感じの、中毒性のある味である。
養命酒は食前と寝る前に一日三回飲む、と箱に書いているのだが、さすがに朝から飲むわけにいかないので、一日二回ぐらいしか飲めていない。だが、それでもじわじわと効き始めた。
まずは飲むと腹が温かくなる。そりゃそうだ酒だからな。
それから、手足がポカポカしてくる。まるっきし眠たい人間のレベルで手がぽかぽかする。そのまんまオフトゥンにログインすれば、翌朝まで手足ポカポカでぐっすりである。
トイレにいく頻度も下がった気がする。カイロを貼らないで寝ているのだからこれは間違いない。養命酒すごい。小説サイトっぽく言うと養命酒TUEEEEEである。
それよりなによりありがたかったのは、PMSが軽くなったことである。ここ一週間で奇声を発して暴れた記憶がないのである。嫌なことを思い出すこともずいぶんと減った。
まあアルコールの効能も少なからずあるのだろうとは思う。しかしアルコールに溶けだしている漢方薬の成分も間違いなく効いている。これはすごい。
西洋医学ではどうしようもないところに効いてくれる東洋医学のすばらしさよ。健康とはこういうことか。ポイントカードを使った価値があった。
もちろんいま病気で苦しんでいるなら養命酒にすがるより病院に行った方が当然いいし、そのほうが確実に治してもらえると思う。わたしだって近所にPMSを相談できる婦人科があるならそっちに行きたい。でもそれがないから養命酒という最後の切り札に手を出したのだ。
養命酒を飲むことで確実に健康になれるという保証はない、どこにもない。だから読者の方に勧める気はないが、とりあえず体感として、養命酒のおかげでここのところバッチバチに元気である。
わたしはニセ医学やニセ科学の類が大っ嫌いなのであるが、養命酒はそれでも薬品としてドラッグストアに並んでいる商品である。信用してやってもいいのではなかろうか。
ただツイッターで見かけた、男性のイチモツが元気になるというのはさすがにウソだと思う。いやわたし男じゃないから分からんけどな。
というわけで、養命酒飲んでみたレポでした。
なにか変化があったら書きまーす。
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