空はいつも青く、いつでも見守ってくれる

いつのまにか誰もいない、けれど何でもあるという不思議な世界にいた女の子。

あちこちにいろんな島が浮かび、おまけにぴょんとぴょんと飛んで行き来できる……ときたら、一人きりのスローライフをエンジョイしてしまいますよね。

しかしそれが数日、数週間、数ヶ月と続けばどうでしょう?

人は一人でも生きられる。
けれど『生きられる』のと『生きる』のとでは、意味は異なります。

誰かに名前を呼んでもらえなければ、誰かに存在を認識してもらわなければ、自分でも『自分とは何か』を見失ってしまうのです。

主人公・鳴海が過ごすことになったこの何でもある『自由』の象徴のような世界には、とんでもない秘密が隠されています。
それを知った彼女の目に映るのは、やはり青い空。

痛みから無、無から再び痛みへ。
鳴海は『自分』と向き合い、俯いて泣いて戦って、そしてほんの少しの強さを得て、上を見上げて歩いていきます。

皆様も空を見上げ、移りゆく景色に自分がここに生きているという当たり前のことを改めて噛み締めてみましょう。擦れて傷付いた胸に、空の眩しさがちょっとしみるかもしれませんが、それも生きてこそなのですから。

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