愛される、少女は皆を、愛し抜く。

人種差別的な内容を含む作品です。ライオット、レムナント、シルバー、ガーネット、などなど、人種ごとの階級がある世界。
ある人種が「この人種には価値がない」として暴政を強いたり、命を無下に扱ったり、自分が特別だと思うことは当然だというような思想を持ったり。僕たちのいる現実世界でも起こっているような問題を、童話のような語り口で丁寧に書いてくれます。
作中に色濃く出るのは「人種差別」的な思想だと僕は思いました。主人公たちはこのある種の「選民思想」に抗っていく。

この作品は、本当に自由だと思います。同時に愛の塊でもある。
全ての人間を平等に愛して、その自由を守り抜く。

作中の「田中龍人」というキャラクターに僕はとてもシンパシーを感じました。自分の知識欲のままに振舞う。主人公のシエラが愛の象徴なら龍人は自由の象徴だった。

本作において描かれる愛は本当に平等です。それは全員に同じ下駄を履かせる、という意味ではありません。一人一人の個性に合わせて、高さの異なる下駄を履かせて、同じような景色……一つの理想を見せる。そんな公平性です。

作者はきっと、どのキャラクターも大好きなのでしょう。個性豊かなキャラクターたち。あなたもきっと、誰かを好きになるはず。

気になった方はぜひご一読を。

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