貴方だけを見詰めている。

『間宮くん、み~つけたぁ~。うふふ』、麗奈の眼差しに入るのは、恋心を抱く間宮くんだけ。他者は見下す存在であり、眼中にすらない。
その冒頭から入る本作品は、まるで二人きりの世界を作り出しているかのよう。夢中になればなるほどに、周りの世界がまるで見えなくなってくるものです。その行き過ぎた行為はもはやストーカー。
当然、その行為を邪魔するものがいれば、容赦なく憎悪を抱くもの。それは例え心許せる者であっても、憎しみの矛先を向けることになるでしょう。

間宮くんと親友の友香が二人きりでいれば、当然それは現実となる。押さえつけていた感情が一気に爆発すると、一方的な恋心が執着心へと変わり、瞬時に独占欲へと変わりゆく様は、もはや愛憎しか存在しません。ここまでくると友情などはそこに存在せず、間宮くんの思惑を無視する一方的な争奪へと変わりゆくのです。それはまるで、人が狂気に走りゆく様を見ているようでした。

決着を付ける為にどうするのか? 波乱含み物語は佳境を迎えて全てが明らかとなります。
読了して、人の思い込みの力は、本当に恐ろしいものだと痛感していました。互いを理解し合い、そして心と心を通わせることができるのならば、きっと解決するに……。
ここで気になる三人の結末は、是非とも拝読して、その目でお確かめください。きっと、驚く真相が読み手を待ち受けています。