ナイトシフト 5
そして朝。正確には昼前。
目を覚ました凛子は驚いた。昨日はパジャマを着たはずなのに、なぜか下着姿なのだ。
「あれ? なんで?」
「おはよう」
凛子が顔を上げるとシャワーを浴び終え、スレンダーな体にタオルを巻いた真衣が立っていた。
「昨日はすごかったね」
「誤解を招くようなことを言うな。それよりなんでわたしパジャマ着てないの?」
「襲おうとして脱がしたら胸がでかすぎて虚しくなってやめたから」
「脱がすな」
「とりあえず胸は揉めるだけ揉んどいた」
「揉むな!」
凛子は赤面して布団を胸元に持ってくる。
真衣は気にせずタオルをほどき、タンスから下着を取り出す。
それを見て凛子は慌てた。
「わたしの下着着る気!?」
「着られるわけないでしょ。朝ちゅん用に自分のを置いてあるんだよ」
「勝手に置かないでよ!」
「それよりあんまりじろじろ見ないでくれる?」
「ご、ごめん!」
「まったく、隙あらばエロい目で見てくる」
「それはあんたでしょ!」
「また胸も大きくなってるし。このままだとどっちが本体か分からなくなるね」
「こっちが本体よ!」
真衣はやれやれと肩をすくめながら下着を着ると、キッチンへと向かった。
凛子がむっとしていると、真衣はコーヒーを淹れて戻ってきた。
「はい」
「あ、ありがとう……」
凛子はびっくりしながらカップを受け取った。
真衣はコーヒーを一口飲む。
「もし一緒に住んだら毎日コーヒーを淹れてあげられるのにね」
日に照らされた真衣はかっこよくて凛子はドキッとした。
「そ、それって昨日の話の続き?」
もじもじする凛子だが、一方の真衣は首を傾げた。
「え? なんの話?」
「覚えてないの? じゃ、じゃあべつにいいわよ。なんでもないわ」
凛子は恥ずかしそうにそっぽを向いた。
それを見て真衣はフッと笑う。
「じゃあ朝ご飯にしよっか。コーヒー淹れてあげたしりんちゃんが作ってよ」
「……仕方ないわね。なにが食べたいの?」
「そうだな。じゃあ、具だくさんの味噌汁で」
笑顔でそう言う真衣を見て凛子は口を尖らせて頬を赤くした。
体温が上がるのが分かった。
しかしすぐに照れながら笑う。
「はいはい。作ってあげるわよ」
その日の朝食はいつもより少し豪華だった。
あたためますか? ~とあるコンビニバイトの百合物語~ 歌舞伎ねこ @yubiwasyokunin
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。あたためますか? ~とあるコンビニバイトの百合物語~の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます