皆の想いが、継がれていく。

ストーリーそのものについては、他のレビュアー様が素敵なレビューを多数投稿されておられますので、私からは少し視点を変えて。

作品の根底に人が愛する心があり、それは切々と読み手に編み込まれていきます。
激動の時代、地に伏した多くの命は、何を思って散っていったのでしょうか。

本作の面白さは、転生や、もののけといったオリジナリティに加え、ゆっくりと豊熟していくような深い人間ドラマを、楽しみながら堪能できる、という点にあるのではないでしょうか。作者様が実現されているこの両立は、じつは相当に難しい技術なのではないかと思います。

加えて本作を通して感じたのは、作者様のこの作品への愛と、伴走する息遣い。
「こひびと」ならずも、人同士の愛は時代を超えて、物語という枠をも超えて、このように人々の共鳴を生むということを、本作を読了して感じました。魅力的です。

長期に渡る連載、お疲れ様でした。
本作との出会いを、感謝いたします。

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