全ては、鳥の名を持つ子供たちのために。

 トラック運転手として働く主人公の前に、謎の美女が大きな荷物をもって現れる。美女は主人公を銃で脅し、荷物を運び、病院に連れて行くように命じる。しかしその途中、荷物の中身が子供であることが判明し、三人で病院を目指すことに。
 しかし、休憩中に黒服の男たちから襲撃を受け、三人は逃げることとなる。実は美女は研究所で「先生」と呼ばれ、子供たちの教育係をしていたのだ。そして、そのうちの子供の一人を救うために、無断でこの子供を連れだしていた。研究所ではこの子供から、臓器を摘出して他の子供に移植する計画があったのだ。
 何とか病院に着き、美女は姉に助けを求めるが、姉は自分の子供を人質に取られており、美女を助けてはくれなかった。この美女姉妹の父親は、研究所の高い地位にいたため、美女は父親と直接対決する。研究所を体現するような父親と、それに背く娘。この対立は果たして―—?
 そして主人公にも研究所から黒服の男たちがやってきて……。
 訳アリ独身主人公は、美女と子供を助けることはできるのか?

 主人公の過去と、美女の柔らかな部分、そして無邪気な子供という設定が、まさしく「家族」を連想させ、物語に深みを与えている。特に、「冷徹な美女」と子供に優しい「先生」であり「聖母」のような面と、「妹」、「娘」の面を見せる美女が、とても魅力的だった。子供も天真爛漫で、とても愛らしかった。

 是非、是非、御一読下さい!

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