★★★ Excellent!!!
戦う者とその理由、そしてヒーローというもの 和田島イサキ
自らを『終末企画』と名乗る悪の組織が暗躍する世界、それに対抗するための集団たる『同盟』がひとり、ヒューマンマンの戦いの物語。
めちゃめちゃ熱いヒーローもの小説です。いやどうでしょう、単純に「ヒーローもの」と言い切ってしまうのはちょっと語弊があるかも。確かにヒーローの活躍するお話ではありますし、またとても胸を熱くしてくれる物語でもあるのですが、厳密に「ヒーローもの」として括られるべきかどうかは難しいところで、むしろもっと普遍的な人間のドラマを描いているような部分があります。というか、そう感じます。好き。
ヒーローものというか日曜朝の戦隊ものというか、その雛形をそのまま生かしたような設定で、特に序盤の展開なんかを見るとわかりやすいのですけれど、「ヒーローもの」要素はパロディ的に用いられている部分があります。事実、序盤から中盤までの展開は完全にコメディで、いやそもそも「ヒューマンマン」というタイトルの時点で推して知るべしなのですけれど、とにかく笑いながら読みました。脱力ものの設定や展開、それをどこまでも生真面目にこなす主人公に、救出後の少女との軽妙な会話まで。コントみたいな掛け合いの空気感が面白く、普通に笑って読めるお話で、こういうコメディ的なお話は本当に大好き、なのですけれど。
やっぱりどうしても外せないというか、この作品を語る上で一番魅力的なのは、その上できっちり心を揺さぶ…
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