アキラ、アキラめない!

作者 前田薫八

男は熱く忠義を尽くす! たとえ虐げられても(笑)

  • ★★★ Excellent!!!

人間、強くたくましく生きていくために必要なスキルのひとつに"鈍感力”があるのだと思う。人という生き物は外に出れば嫌でも世間の目と評価にさらされるわけで、これはどうしてもついてまわる厄介事と言おうか。のちのち解決困難な難事のタネとなる。

常時マスクで口を塞いで歩かなければならないコロナ禍のこのご時世でも耳と目まで塞ぐわけにはいかないので、なにかといろいろな情報が聞こえ、そしていろいろな事実が見える。結果、どうしても自分の考えを押し殺し、他人に同調する必要が出てくる。

集団組織の中で空気が読める人は重宝されるが、読まない(読めない)ほうが幸せなことも多々あるわけで、それがポジティブ・シンキングにつながるのなら、なかなかどうしてKYも悪くないのではないか。そっちのほうが楽なのではないか、と思えるのは私がわりと周囲に流されやすい人間だからだろうか?
マイペースを貫くというのも難しいことだが、もしそれができれば明るい未来が待っている……かもしれない(笑)。

まァ、でも鈍感力と対になる"敏感力”はそれはそれで必要なわけで、結局ぴーん、とアンテナをはっていなければ流れにのれない、というか、周りの声が聴こえていないと不安になるのも事実で、その中で少しの自己流を発揮できれば良いのかな、と最近は思えるようになった。みなさんの意見はどうだろうか?



本作品の主人公、山中アキラは主君(?)の上月久菜にどれだけ虐げられても迷惑がられても、クラスメイトから珍奇の目を向けられてもお構いなしの鈍感ポジティブ野郎である。お家の再興をめざす彼は常に前向きでひたむき。主君を守るため庭から周囲に目を配り、ときに傷つくこともいとわない。
いつもいつでも間違った距離感で久菜に接するそのソーシャルディスタンス完全無視なKYさ加減は見ていておもしろいが、意外と頼りになるヤツでもある。神経こまやかで料理も上手。どっちかというとお手伝いさんにしたいタイプだ。私の家政夫アキラさん(笑)。

世間の目を気にせずに愚直に突き進むその鋼メンタルぶりから世知辛いストレス社会を生き抜くヒントを得られる可能性もなくはない。いや、そういった小難しいことはさておいて、とりあえず本作品はあまり深く考えずにストレートに読めるコメディに仕上がっている。
私は戦国史に詳しくないが、そのへんの知識も一切不要。KYな人なら大丈夫だ(注.漢字が読める人の意味です)。

アキラが久菜を出世(?)させるため健気に尽くす様はコミカルに映るが本人は至って真面目。果たしてお家再興はなるのか? 久菜を悩ませるストーカーの正体は? ジャンルはラブコメだが、マジで恋愛モードに突入するのか? そのへんは読者諸兄のKY(感性豊か)な目でたしかめていただきたい。読書の秋はこれで決まりッ!

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