作者様の作品は過酷な運命と戦う登場人物が多く、最初はこの物語もシリアスになっていくのかなと思っていました。
(近況ノートで作者さんが「結構ギャグ多めに書いたつもりなので、ゲラゲラ笑いながら楽しんでいただけたら幸いですね」と書いていたけど、まったく信用できなかった……笑)
案の定、この物語のヒーロー・トラマルは悲しい過去を背負った人物だったのですが……。
主人公兼ヒロインの勇者リアちゃんが、とんでもないシリアスブレイカーだったのです(笑)
のっけから聖剣を折られちゃうし、折った張本人であるトラマルのストーカーを始めちゃうし、そして目の仇にしていたトラマルに助けを求めるし……。
トラマルがシリアスモードになっても、ドジっ子へたれ勇者のリアちゃんがその空気をぶち壊していきます(笑)
最後らへんでちょっとシリアス要素が強まりますが、最終的にはやっぱりリアちゃんががんばってくれます。強制的にギャグ空間を発動する勇者リア、ある意味では最強である。
本当にゲラゲラ笑いながら楽しめる作品でした。前田さんは嘘つきじゃなかった!!(←失礼)
みなさんも、ドジっ子へたれ勇者リアちゃんの冒険をゲラゲラ笑い、萌えて、最後には感動しましょう!!
最近よく“残念な○○”という言いかたを耳にします。これ、きちんとした日本語ではないそうですが、なぜか意味は伝わるもの。我々の耳(頭?)って大変便利にできているものですね。
なんとなく惜しい人を形容する……それが主な用法でしょうか? 仕事はできるのにケチだとか、イケメンなのにスケベだとか、かわいいのに服装がダサいとか、そういった人たちをさすときに使われる“残念”という言葉。でも本来『すぐれた資質を持ちながら、それを相殺するほどの欠点をあわせ持つ様』という意味があるそうですから、今風の使いかたも間違ってはいないのかもしれません。
ちなみに“ヤバい”、“無理”の使いかたも変わりましたよね。美味いものを食べて「これヤバい!」って言う人いますよね。ドッキリ系のテレビで人気芸能人に出くわした素人が、よく「無理無理」って言いますよね。これらも意味としては通じるもの。やはり日本語というのは良くも悪くも万能なコミュニケーションツール、ということでしょうか。“ことば”とは、なんとも奥深いものです。
本作『勇者』と〈影の一族〉。ヒロインの勇者リアは“残念”で“ヤバく”て“無理”の三重苦を抱えています。まさに奇跡の人である彼女は鬼籍に入ることを避けるため(クスッw)残念すぎる色じかけで敵を誘ったり、肝心な局面で大事な聖剣をあっさり折られてヤバい状況に陥ったり、いろんな方面から無理難題をふっかけられたりと、あまりいいところがないのですが、なぜか憎めない。いや、憎めないッつーより、ちょっと(とっても?)おバカさん♡ アイスキャンディーであっさり籠絡されるあたり、精神年齢が低調のまま身体だけが大人になった(やらしい意味じゃないよ)タイプとお見受けしますが、たぶん顔はかわいいので許しちゃおっかな、という気にさせてくれる愛嬌たっぷりなポンコツヒロインです。
「責任とってよ!」とのたまう(これも、やらしい意味じゃないよ)彼女のストーカーぶりに聖剣をへし折った張本人である影の一族のトラマルも「折ったオイラが悪いのか……」と(古いなァ)内心思っているに違いありません。ヤバすぎるふたりの、無理ゲーな珍道中に期待しましょう(うーん、やっぱ使いかた難しいなァ……)。
それにしても……食い物の名前を連呼するだけで力を発動する謎の聖剣レグルス。本当にポンコツなのは、低性能低品質のアンタですから〜っ。“残念”ッ!