死者の言葉を届ける郵便局でお盆の時期に語られる逢いたい人への想い。語られる五つの逢いたい人の話がどれも通り一遍ではなく、それぞれが切実でドキリとするほど印象深い。登場人物たちも皆いろんなものを背負っていることを感じさせるのだけど、その存在自体が、なんとも曖昧で現実ではない幻のような印象を抱かせる。そして最後に語られる佐藤さんの物語は衝撃的だ。はっきり明かされないニイさんの正体、佐藤さんとの関係も妙に心に残る。――これは心をざわつかせる物語だ。だからこそ、一人静かに噛み締めて読みたい。そんなお話。
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