復讐劇の一歩目を微妙に踏み外している

この作品を端的に説明すると、聖剣を引き抜いた主人公が「聖剣が弱い」という理由で一度も使わなかった結果、人間サイドの王国が激怒して聖剣を没収、新しい勇者を立ててきたので、魔王軍に寝返って成り上がる物語である。

ストーリー自体はシンプルで、主人公は最初から人類最強であり、より強い敵と戦えば即覚醒してもっと強くなって勝つサ○ヤ人だ。さらに敵は全員頭が悪いので、読む上で難しい背景や深読みも必要ないが、読み続ける上で必ずクリアしなければならないハードルが一つ存在する。

それは、「なんでそもそも使わないのに聖剣を抜いたの?なんですぐ返却しなかったの?」という当時の主人公への疑問を置き去りにして、わざわざ洗脳してまで無関係な人間同士を殺し合わせる主人公に同情的であり続ける…というハードルだ。

その一点さえクリア出来ればこの作品を復讐劇として素直に楽しめるだろう。主人公の陰湿な部分を見てもなお好感度をギュンギュン高めていく女の子に対する疑念も無くはないだろうが、上記のハードルと比べれば些細なものである。

その他のおすすめレビュー

秋雨ルウ(レビューする人)さんの他のおすすめレビュー18