暑さ寒さも彼岸まで

本作は塾講師が教え子とともに、10年前に他界した実姉の墓参りにいくお話です。
かつては荒んだ生活を送っており、それが姉の死因の一因ではないかと考えていた主人公は、両親と縁を切ったこともあり、自然とお墓から足が遠のいていました。
人生の転機を迎え、主人公はもう一度過去の自分と向き合うことを決意します。

奇しくも同じように、節目を迎えた教え子の存在が良いアクセントを加えています。
角川武蔵野文学賞に応募されている作品ということで、短編で読みやすい文章ですので、すらすらと進めることが出来ると思います。
夏の暑さが季節とともに過ぎるように、苦しいことでも終わらないことはない、それは現代の世情に向けたメッセージのようにも思えます。

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