幸福ってナニ!?
- ★★★ Excellent!!!
怖いと思った。二度読んでそれがなんとなく見えてきた。ヴァレリーの選択もダインの選択も結論だけを言えば他者などどうでもいいのだ。それってめちゃくちゃ怖い。確かに民衆は生き存えることに必死でヴァレリーの神性に依存している。ヴァレリーはやや単一的な価値観でありながら死は不幸、生は幸福という基準で救済を続ける。一方でダインは欲望に消費されるだけ(に見ている)のヴァレリーの生き方に疑問を持ち、愛する者たちの死をきっかけに世界を閉じる。でも考えてみてください。ヴァレリーは生きることに幸福の価値を置いてずっと力を使ってきたんですよね。だとするとダインの選択ってそれまでのヴァレリーの活動を全否定してしまってる。反対にヴァレリーは死の不幸は癒せないと力不足を嘆いて贖罪の気持ちからか死にかけていたダインを拾うことである意味彼自身を(作中でもしっかり明言されるほど)不幸にしちゃってる。挙げ句の果てには民衆の生活は(彼らにも少なからず非はあったのだろうけれど)突然終わらされるw 雰囲気としては叙情的に描かれてるけれど起きた事実だけを拾うと無茶苦茶で「ええーーーーッ!」ってなってしまった。確かにヴァレリーとダインの間には愛情や絆があって、だからこそお互いの幸せを願ったはずなのにお互いの幸せを望めば望むほど反作用しちゃって救いがなく結果世界が終わってしまったんだが……とまあ些かひねくれた読みで申し訳ないんですがそのハチャメチャさが面白かったです。いろんな読み方ができる物語というのは簡単には書けないんですよ!私が草食ったさんの狙い通りに読めてる自信はないんですが他の方が仰ってた「狂人」という言い回しの片鱗を見た気がしました笑(ってる場合ではないガクブル)