第4話 人は見た目が

 幸多郎は、久しぶりに訪れた部活の休養日に、他校に通う妹の沙也加さやかと映画を見に行くため、近所のショッピングモールに来ていた。

「沙也加、あんまりくっつくなよ。こんなとこを誰かに見られたら、恥ずかしいじゃないか」

「いいじゃない。兄さんとの久々のデートなんだから。美人の妹との折角のデートなのに、ちょっと元気が無いわね。何かあったの?」

「自分で美人って言うなよ、みっともないぞ」

「兄さんのおごりで映画が見れるから、ついテンションが上がっちゃった。テヘ」

「テヘ、って言うやつ初めて見たぞ。まぁいいや、少し話を聞いてくれるか」

「――実を言うと、この前、同じ高校の後輩から告白されたんだ」

「兄さんも私と同じでよくモテるから、これまで何度も告白されてるでしょ。いつものことじゃないの?」

「今回はいつもと違って、僕の好みにピッタリのポッチャリ系の女の子だったんだ。でも、練習が忙しくて、つい交際を断っちゃったんだ・・・」

「それで元気がないのね。そんなことで後悔してるんだったら、今度は兄さんからその子に交際を申し込んでみたら?」

「――そうだなぁ。うん、そうしてみよう」

「やっぱり、人は見た目が・・・」と幸多郎は心の中で思った。

 

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人は見た目が・・・ 水樹詠愁 @super_hideking

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