ポーズとして残ること

人はみんな何かしらのポーズをとって日々を過ごしています。
大なり小なり、誰かにとって見られたい自分に近づけるように振る舞い方を決めたり、あるいは自分自身に課した基準を満たすように所作を決めたりしているのだと思います。

このお話は姉が死んでしまったことを実感できない"私"が姉を摸倣することによって、姉の、あるいは自身の感情を探す物語だと思いました。

作中で姉はビールを飲む理由として「見得と意地を張りたいから」と語ります。
"私"も真似をして「見得と意地」を張るためにビールを飲んだところで不思議な現象に遭うのですが、感情を吐露する場面が幻想的で素敵でした。

亡き人を思い、その人がなにを思っていたかを考えて、自分の中で規定したその人の模倣する。
その模倣された偶像はその亡き人が選んできたポーズの結果であり、これからも生きていく上でとっていかなければいけないポーズを選ぶ基準にもなり得るのではないかと思いました。残された人の中に偶像として生きる、みたいな。

郷愁と切なさが詰まったとても良い作品ですので、是非読んでみてください。

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