概要
唯、其「振り」をするより他に無し。
時は大正、浪漫と頽廃の混じり合う時代。成金と揶揄されるも厭わず、近代人精神を顕す資本家の二代目、織部は、高等女学校を出た子爵令嬢の黒羽清子との婚礼を迎え、輝かしい未来を確信していた。しかし、或る時より友人知人が次々と姿を消すも、誰もその人達の事を憶えてさえ居ない事態に陥る。そんな中、清子に待望の第一子が宿るが、中々出て来ず、精神的に追い詰められて行く。その解決策を当たる中で、女中のお絹より黒羽家の過去のありかを告げられて……夢か現か混じり合う奇譚。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!がっぷり四つストロングスタイルの大正浪漫
大正期の日本を舞台に、資本家の男性が不可解な事件に巻き込まれていくお話。
大正浪漫、いや『浪漫』という華やかな感じではないので実質ただの大正というか、とにかくおどろおどろしい話でした。ホラー、あるいは怪談のような伝奇のような。タイトル、キャッチ、紹介文の時点ですでに雰囲気バリバリ、本文に入ってさらに倍という、この徹底っぷりが印象的でした。
いつまでたってもお嫁さんのお腹の中から出てこない赤ん坊と、ひとりひとり存在ごと消滅していく友人たち。その謎を解明するというか、この邪悪でおぞましい何者かの根源に迫るため、猟奇的な曰くのある離れ小島へと向かう、というお話の筋。
ひたすら不気味な出来事…続きを読む