値札

 生命倫理に正面から切り込んだ問題提起であり、高校生らしい純粋さと真剣さを感じた。
 実のところ、先進国では臓器売買の類は 禁止されている一方、善意の無償提供は構わないとするところがほとんどである。
 ところが、そうした実例を取材した書物によれば、レシピエント……つまり臓器を受け取った側……が文字通り命を受け継いだことについてどのように感謝して良いのかがわからず、その後の人生を割り切って考えることができなくなりずっと迷いながら 生きていくことになることがしばしば起こると述べられていた。
 もっと現実的には、悪徳葬儀屋が病院と グルになって死体の売買をするというようなこともあるようだ。もちろんそんな連中はごく一部なのだが。
 いずれにせよ、理想と現実が鋭く対立する問題である。