現実に晒されるにはあまりに純真なふたり

重い病気で死が迫っているのに達観した強さを見せる少女と、下心もなくただ彼女を喜ばせたい純真な僕。
そこに、どうか世界は優しく微笑みかけてほしい……その一心だけで読んでいたのに、現実は容赦なく裏切りを見せます。
世界の理不尽さと悪意に触れるにはあまりにも幼過ぎた彼らの心を思い、読み終えてからも放心状態でした。
頓珍漢なイベントにただ笑い合うのが楽しかった、悪意に身震いするほどの恐怖を覚えた――。
子ども時代の手探りするような世界の感触が瑞々しい作品です。

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