「僕さ、余命半年だから、……だから、良かったら一日だけ、僕の彼女になってくれない?」
医者から余命宣告をされた《僕》は、ずっと想い続けてきた相手に「最低」で「最悪」の告白をした。《僕》の小説をただひとり褒めてくれた優しい彼女は、死を盾にした《僕》を拒絶できるはずもなく、うつむいたままでひとつ、「うん」と頷いた。
こうして《僕》と彼女は一日だけ、恋人になる。
この小説に登場する《僕》は御世辞にも好青年とはいえません。格好よくないし、ダサくてちょっとばかりズルいし、意気地がない。けれどもそれは、きっと誰もが胸のなかに隠している脆い部分で、だからこそありのままにそれをさらけだす《僕》に読み進めていくうちに段々と共感していきました。
ダサくて、なさけなくて、格好悪い。
それがどうした。これが青春だ。