最終話

 5月。


 “緊急事態宣言 解除”


 現在21時45分。昼間は暑いくらいの日だった。


 私はベランダで、22時を待っている。22時ちょうどを。約束はずっと続いていた。


「もしもし、俺。」

「もしもし、私。今日は何かあった?何があった?」

「今日は、これからお前と会う。」

「えぇ?何言ってるの?」


 私は笑う。インターホンが鳴った。


「誰…こんな時間に…。」


 コン コン


 スマホからも玄関のドアからも、同時に聞こえたノックの音。私は玄関へ急ぎ、ドアを開ける。


 微笑む新が立っていた。


「言っただろ?お前と会うって。」


 強くなる。守ってみせる、大切なもの。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

22時の約束 凪 景子 @keiko012504

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ