飛ばない翼があってもいい

有翼者と呼ばれる翼が生えて膝から下が退化した人類が少数存在する世界の話。
と言っても何か大きな事件が起きる訳でもなく、問題が発生する訳でもなく、飛ぶ事も歩く事もどちらも中途半端にしか出来ない青年の通学を描写しただけの作品。
内容はとてもリアルです。現代社会に有翼者が居たら実際にこういう事になるだろうという状況そのままです。
中途半端でどっちつかずの体だけれど、だからと言って憐れみを持って欲しくないし、憧れも持って欲しくない。どっちつかずそのままの自分を見て欲しいという切実な思いが胸に響きました。
この思いは彼が有翼者だからという訳では無く、人間全てが思っている事なんでしょう。外見が関わらないインターネットの世界を大勢の人が好んでいるのがその証拠なんだと思います。
一人一人違う外見や考え方をしているからこそ、世の中はこんなにも生きにくいけれど素晴らしいんです。

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