概要
1975年4月29日、南ベトナム・サイゴン最後の夜
1975年4月、「ホー・チ・ミン作戦」を発動した北ベトナム軍は、一気に南へ攻め下り、南ベトナムの首都サイゴンに迫っていた。首都陥落前夜、静かに酒が飲める涼しい場所を探している若者の物語。(旧作を移転)
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!腐った果実の、最後の夜
南ベトナム最後の日を、ひとりの男の酔った独白という形で描いた短編。
砲声が響き、街が崩れていく中でも、主人公は酒を飲み、トランと話し、かつての恋人や高級店、フランス文化、アメリカ、そして自分自身を思い返していく。
軽口と皮肉に満ちた語り口なのに、読み進めるほど、その陽気さの裏側にあるものが見えてくる。主人公自身が、アメリカの援助と腐敗の上で享楽的に生きてきた「南ベトナム」の縮図になっているのが印象的です。
そして最後、サイゴンの夜景を見下ろしながら語られる言葉が、この物語全体を一気に別の色へ変えてしまう。
華やかで、退廃的で、どうしようもなく美しい。
そのすべてが崩れ落ちていく「最後の…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ヘリコプターの音がした。正義が飛び去っていく。世界の終わり。
この物語を読む前に、ベトナムとベトナム戦争の概要をご存知ない方もいらっしゃるかもしれません。簡単に記しておきます。
なお、これは私が独学で調べたことであり、誇張・誤認があるかもしれないことを、最初に述べておきます。
ベトナムはフランスにより侵略され(そのためこの物語の序盤には、フランス語のお店が登場します)、
第二次世界大戦後、ようやくフランスから独立したと思った途端、
今度はアメリカとソ連の大国同士の戦いに巻き込まれ、
ベトナムは北(ソ連側)と南(アメリカ側)に別れて戦争が起きました。
しかしその戦争は、アメリカが撤退したことと、北ベトナムが侵攻したことにより、1975年に終結します…続きを読む