第二章『学園編』
第1話『幼馴染は世間的には妻の様です』
桃さんとのデートから日が経ち、今は眠い辛いの憂鬱なる月曜日を迎えている。とはいえ俺の学園生活は穏やかな一日を過ごせ……てはいない。
理由をいえば羨望、嫉妬、嫉心、妬心、悋気様々な視線を俺は向けられているからである。その原因は目の前にいる姫乃 葵この人だろう。
彼女はスクールカーストトップにして学園の女神様と呼ばれ、スクールカーストDの俺とは一線を欠く存在だ。そして聞くところによれば、この学校の一部の男子により設立されたファンクラブまであるらしい。
俺は勿論入っていないよ?
葵は机に両手を叩きつけて俺に迫ってくる。その際背が低いのにも関わらず、異彩を放つ双丘が強調され眼福なのは秘密だ。
「ちょっと!土曜日一緒にいた女の人は誰!」
「……」
「秀くん!聞いてるの!」
「……あーうん。聞いてる、聞いてる」
「絶対に聞いてないよね!もう一回聞くよ?あのの女は誰!」
あーあ、もうこの子あの女とか言って……イメージ崩れちゃうよ。そんなことはお構いなしに次々と言葉を並べる葵の顔は鬼の形相だ。
俺らの様子を見ている同級生らは「ま〜た夫婦喧嘩が始まった」「女神様と下僕の禁断の恋」「あー下僕君浮気?」「冴えないあの男、死ね死ね死ね死ね死ね」と十人十色様々な罵詈雑言を浴びせている。
そもそも葵とは腐れ縁の幼馴染だ。彼女でもなければましてや当然嫁でもない。ただの幼馴染なのだ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜とある日の記憶
俺が日本に帰ってきて初めて学校へ向かう日の当日。目の前には誰もが振り返るであろう美少女がいた。その人は他でもない葵だ。葵の制服姿はとても魅力的で俺は一瞬にしてその姿に魅入らされた。
しかし其れは長くは続かない。
「お義母さまに頼まれて、これからは私が秀くんのお世話をするから」
という言葉が俺の耳に届いたからである。一瞬にして思考は停止され、その数秒後に響いたのは「えぇぇぇぇぇぇぇえ!」という悲鳴のみであった。
あの日以来葵は言葉の通りに行動をしてきた。
初めは毎日の様にお弁当を作ってきた。
当然俺は「弁当(高級)を買うから態々作らなくても……」と遠慮して断っていたのだが、其れが一週間も経つと遂には葵に『私のッお…お弁当は……ど、どうしても、ヒック食べたくないの?ヒック』と同級生がいる前で泣かれてしまい、如何にも断る事が出来ずに甘んじてお弁当を作って貰うという行為を受け入れてしまった。
その次には毎朝俺にモーニングコールをする様になり、更には俺の
俺は葵に学校から遠くなるのだから止めるように働きかけたのだが、『うんうん、気にしなくても良いよ?私は全然大丈夫だから』とその一週間後に無理がたたったのか三十九度の高熱を出してからは周囲から『何嫁に無理させているの!』と理不尽なお叱りを受けて、俺が葵の家迄迎えに行く様になった。
未だに俺は何故こうなったのか理解に苦しんでしまう。
そして最後には稀に土曜日に俺の家に押しかけては、家を掃除して更に夕食を作り、そのまま泊まって翌朝帰宅するという行為をしてきた。
正直なところ俺はちゃんと料理も出来るし、家だってハウスキーパーさんに学校へ行っている間に週二で来てもらっているので、葵に態々やって貰う必要はないのだが、学校で断る方法を相談してみると『惚気話か……』『クッソ葵さんはコイツの通い妻……』と遠い目をした同級生(男)や、『なんで止めて欲しいの?最低ね』と此処でも理不尽暴言を吐いてくる同級生(女)の所為で断る方法が結局分からず、そのままずるずると受け入れることとなってしまった。
葵は俺を母のお願い通り面倒を見てくれているのだろう。『お礼をしないと』と思うところはあるが今はまだ大丈夫であろう……
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
此処から学園編(仮)へと入ります。どれだけこの編が長引くかは未定で、本当に学園だけで収まるかも未定です(絶対に収まる気はしません)。書いててタイトル詐欺じゃないかと不安には感じますが、秀麻が葵の好意に然程気づいていないのでセーフです(え?)
今後ともこの作品を宜しくお願いします ( *・ω・)*_ _))ペコリン
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます