雪と小屋

作者 草食った

97

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★★★ Excellent!!!

冬の間だけ山小屋を管理するアルバイトをしている青年の元へ、記憶を失った女性がやって来る話。
導入の流れからして雪女のパターンかと思ったのですが、どうやらこの世界は春夏秋冬がそれぞれ人格と肉体を持っている世界らしく、彼女は記憶を失ったと言ってはいるが冬なのではないかという内容でした。
所々の描写や彼女の性格からしてもしかしたらそうじゃないのかと思いましたが、ラストにそうだと分かって安心と納得しました。
人が季節に恋焦がれるんですから、季節も人に恋したっていいですよね。

★★★ Excellent!!!

 雪に閉ざされた冬の小屋、管理のために冬季の間のみ住み込んでいる主人公と、そこに現れた不思議な来客のお話。
 真っ直ぐに胸を打つ、優しい出会いの物語です。まさにタイトルに偽りなし、しっかり『雪と小屋』のお話で、でもそれがただの雪や小屋に終わらず、様々な美しい情景を想起させる起点として作用しているのが凄まじかったです。若干なに言ってるかわからない感じの感想(レビュー)ですが、例えば舞台の上に椅子と机だけがあって、それが役者の演技や演出効果により場面ごとに異なる場所を表現するかのような、そんな演出(というよりは構成?)の妙を感じました。
 また単に想起される情景が美しいばかりでなく、というかなぜ美しく感じられるのかの答えでもあると思うのですけど、これらの舞台設定や道具立てが、そのままキャラクター造形に直結しているところが最高でした。『雪と小屋』を中心に、絵的な部分から舞台設定、人物の心情からストーリラインに至るまで、きっちりひとつなぎになって相互に連携している印象。そういう意味で、あるいはそれがあるから、この作品は美しく感じられるのだと思います。
 あと個人的な趣味としては、表現というか語り口の手触りが好きです。冬の冷たさや室内の暖かみを超えて、一足飛びにその厳しさやホッとする気持ちに肉薄してくるような、事象の切り取り方と書き表し方が魅力的な作品でした。

★★★ Excellent!!!

豪雪地帯の小屋にバイトをしにきた男と、そこにやってきた概念のお話です。
概念と言うよりは季節の精霊と言った方が伝わりやすいかもしれないですね。
かなりカジュアルな文章というか、独特な地の文が織り込まれるこの作品なのですが、とにかく作中の人物のやりとりが可愛らしいです。
地の文章を「こういうものなんだな!」って脳のチューニングを合わせるのが得意な人は多分好きだと思うので、異類婚姻譚や、異類交流譚が好きな人には超オススメ。
オチもすごくよかったので、たくさん読まれて欲しい作品だなと思いました。

★★★ Excellent!!!

 雪のクローズドサークル! 概念の人外! シチュエーションから最高ですが、そこから展開するストーリーも最高でした。ミステリラブコメです。
『それ』が▼▼だと思ってから読みなおすと、もう▼▼にしか見えないのは演出の妙でした! 見れば見るほど「たしかに『これ』は△△ではないな」というのが、実際に明記されるまでいっさい気づけないという……! あなたは気づけましたか?
 そしてキャラクターの描写がとってもかわいい! ぜひ皆さんに読んでもらいたいお話です。

★★★ Excellent!!!

冬の間のアルバイトで、雪深い過疎地の小屋を管理している彼。そこに突然やって来た、黒髪の女の人。
何も思い出せない彼女を匿って始まる奇妙な共同生活。

だけれど季節が変われば、別れがくる。その事に気づいた時にはもう、お互いに離れがたくなっていて──。

南から強い風が吹いたとき、彼女はどんな顔をしているのだろう。
現代を舞台とした、不思議な不思議なおとぎ話。

美しい。