第16話 緑女(りょくめ)についてだよ
蘭華蘭菊「みなさん!こんにちはー」
蘭華 「今日は
蘭菊 「そうね」
蘭華 「アルテラのことをさんざんバカにしていい回ね!」
蘭菊 「違うわよ!」
蘭華 「なんでよ!
蘭菊 「そうなんだけど、バカにするのとは違うわよ」
蘭華 「何言ってるのよ。世間一般では
蘭菊 「じゃぁ、蘭華ちゃん、
蘭華 「えっ!?・・・・それは、その・・・髪が緑だから・・・」
蘭菊 「そうね・・・
蘭華 「でしょう!髪が緑なのよ!」
蘭菊 「で、どうして、髪が緑だったら嫌われるの?」
蘭華 「えっ!?・・・・それは、その・・・魔物みたいだから・・・」
蘭菊 「もうちょっと詳しく!」
蘭華 「はぃ!・・・あの・・・魔物の目が緑色だから、髪が緑色だと魔物みたいだなぁって・・・」
蘭菊 「そうね。その程度の事なのよ」
蘭華 「どういう事?」
蘭菊 「
蘭華 「魔物じゃないの? でも、みんな言っているわよ。
蘭菊 「なるわけないじゃない! ただみんながそうやって誰かを蔑んでいないと生きていけないだけなのよ。」
蘭華 「どいう事?」
蘭菊 「この世界には『王』『騎士』『神民』『一般国民』『奴隷』『罪人』って言う順番で身分が決まっているわ」
蘭華 「そんなこと知っているわよ」
蘭菊 「で、人数が多いのはどっち?」
蘭華 「えっと・・・一般国民かな?」
蘭菊 「奴隷よ奴隷!この世界で一番多い身分は奴隷!」
蘭華 「そうだったの。てっきり一般国民だと思ってた」
蘭菊 「最前線など、危ないところに駆り出されているからあまり目につかないのよ。その一番多い奴隷たちが不平を言い出したらどう?」
蘭華 「大丈夫じゃない!だって騎士には騎士の盾があるから歯向かえないし」
蘭菊 「そうね。騎士はね。ただ、その奴隷たちが一斉に反抗すれば、駐屯地の神民たちの命は危険にさらされるかもしれないわよね」
蘭華 「そうか・・・神民は普通の人間だもんね・・・しかも、フィールド維持に必要な人たちだし・・・」
蘭菊 「そう、だから、奴隷たちが反乱を起こさないように、下の人間をつくったの」
蘭華 「もしかして、それが
蘭菊 「その通り。
蘭華 「しかも、見た目が魔物を連想させるとなれば、卑下の対象にしやすいと・・・」
蘭菊 「正解!」
蘭華 「それじゃ!ただ単に、みんなでいじめてるだけじゃない!」
蘭菊 「そうよ」
蘭華 「そうよじゃないわよ!」
蘭菊 「だって、蘭華ちゃんも最初言ってたじゃない。アルテラさまをバカにしていい回だって」
蘭華 「それは、
蘭菊 「みんなそうよ・・・いや、分かってても理解したくないだけかもしれないけど」
蘭華 「ごめんなさい・・・」
蘭菊 「
蘭華 「どんな・・・」
蘭菊 「そうね・・・内地では、牛馬よりもひどい扱いを受けていたの。例えば、見世物小屋で豚の相手をさせられたり、魔物捕獲用の寄せ餌にされたり。」
蘭華 「もう・・・人として扱われてないじゃないの・・・」
蘭菊 「だからね、カリアさんなんかは、最前線の駐屯地に自ら喜んで志願したの。そこだと、命の危険はあるけど、奴隷兵として最低限人間として扱ってくれるから」
蘭華 「なにそれ・・・悲しすぎるじゃない・・・」
蘭菊 「悲惨なのは
蘭華 「え・・・」
蘭菊 「
蘭華 「ひどい・・・」
蘭菊 「だからね、
蘭華 「生まれながらに人生詰んでるじゃない・・・」
蘭菊 「そうね・・・ただ、髪が緑と言うだけでね・・・」
蘭華 「でも、アルテラは違うじゃない」
蘭菊 「だって、アルテラさまは、融合国の宰相で、第一の門の騎士アルダイン様の娘よ」
蘭華 「要は・・・アルダインが怖くて口が出せないってことね」
蘭菊 「そうね。所詮、差別する人間なんて、強いやつには口も手も出ないものなのよ」
蘭華 「だから、アルテラは今までお嬢様として育つことができたんだ」
蘭菊 「そうね・・・かといって、幸せと言うわけでもないのよ」
蘭華 「どういう事?」
蘭菊 「いくらアルダインの娘って言っても、
蘭華 「ボッチかぁ・・・」
蘭菊 「そう、ずーっとぼっち」
蘭華 「そういわれるとアルテラも、何だかかわいそうよね・・・」
蘭菊 「そうね・・・」
蘭華 「今度アルテラに会ったら、ギューってしてあげよ」
蘭菊 「そうね!それがいいかもね」
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