人は人を想う。それが、滅びた世界でも

どこまでも荒れ果て、崩壊した世界。
しかしそれが当然であるかのように、屈託なく、天真爛漫に生きる少女、シーカ。
その少女を何よりも大切に守り続ける兵器であり、兵士でもあるゾルタン。

死と瓦礫が埋め尽くされた街。
朽ち果て、笑い声が消えた遊園地。
聴く者が居ないままに音楽を吐き出し続けるミュージカルロボット。
そして、遊弋するかつての兵器達。

我々からすれば非日常的な毎日が、彼らにとっての日常。
この日常を兵士であり、兵器であるゾルタンと、少女シーカが
お互いを思いやり、支え合い、寄り添いながら、逞しく生き抜いていく。


なぜ、ゾルタンは少女を守り続けるのか。
彼らが目指す場所に、何があるのか。
そこに辿り着いたら、何が変わるのか。

そして少女シーカは何故、終焉した世界まで生き延びられたのか。

二人の日常が描かれたこの作品を読了して数ヵ月が経つが
この物語がいつまでも心から離れない。

二人の様子から、眼を離せなかった。

無機質で冷たい灰色の世界と、彼らが織りなす儚くも優しい色彩が
強烈なコントラストになって、心に焼き付いているのだと思う。

是非あなたも、二人の行く末を見て欲しい。

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