第一幕:【化野 燈歌×シンシア】
ここからは別日に開催されたセッションとなる。
とは言え実はこの日、様々なハプニングに見舞われており、ログの確保すら難しい状況だったのだ。元々2日間開催の予定だったが、初日の様子をみて2日間では足りず、一日延長までしていたのだが……結果としてクライマックスまで含めて4日間の、短期セッションとなってしまった。とは言え、皆満足そうだったので良しとする。TRPGにハプニングはつきものだ。
ひとまずブーケの投げる必要のないエクリプスペアだけでも、と切られるスタート。飛び交うブーケの無い、(監督的には)平和な一幕である。
SSTW
StellarKnights :銀の砂時の窓シチュエーション表(54[5,4]) → お弁当を取り出して。一緒に食べよう。流れる景色を楽しみながら。何処から来ようと、何処へ行こうと、いつだってお腹は空くものさ。
化野 燈歌:平和。振り直すか。
シンシア:平和を拒絶していくスタイル。
だってエクリプスペアだもの。しかたない。
他ペアとは違って明確にしんどい道を歩くのがエクリプスである。異論は認めるが。
倒すべき敵にもドラマはある。クライマックスの為にも、盛り上げは必要だろう。
StellarKnights :銀の砂時の窓シチュエーション表(22[2,2]) → 叫ぶ。叫ぶ。ただ、叫ぶ。迸る声で喉を裂き、溢れた血で溺れる様に。流れる車窓に揺れるのは、炎の様な憤怒の記憶。
化野 燈歌:ではでは。
──怒りとは。無縁の人生だったと、そう思う。
弟たちの置かれた境遇の理不尽さを嘆いたことこそあれ、そこに耐えがたい、暴力的な感情を抱いた事は無かった。
そしてそれを思えばこそ。人との関わりの上で、それ以上に許し難い事は、有り得なかった。
──揺らぐ。炎のように、窓。
初めて怒りを覚えたのは、そう。
誰にも話される事無く、下された決定により、弟の命が失われたと知ったその日のこと。
“なにも出来なかった自分に対して”だ。
化野 燈歌:「────ッ!!!!」
化野 燈歌:揺らぐ車窓から目を逸らす。
化野 燈歌:ぐらぐらと揺れる視界は熱を帯びて、濁り切って判別もつかない。
シンシア:「トーカ」
化野 燈歌:「ッ!」
化野 燈歌:びくり、と肩を震わせる。
シンシア:つまらなそうに、車窓を一瞥し。
化野 燈歌:深呼吸を、ひとつ。ふたつ。知らず荒れていた呼吸を正し。
化野 燈歌:「……どうした、シンシア」
シンシア:「これ」
化野 燈歌:「……?」
シンシア:左手を突きだした。ちょうど、爪が相手の方を向く形で。
シンシア:「ネイル剥げちゃった……!!」
シンシア:まことに重大な由々しき問題が発生している。
化野 燈歌:ぽかん、と。
化野 燈歌:面食らって、一瞬、我を忘れて。
化野 燈歌:「……はは」
化野 燈歌:乾いた笑いが漏れた。
化野 燈歌:「それは、確かに、一大事だ」
シンシア:「最悪だわ。よりによって今日なの?せっかく上手にできたのに!」
化野 燈歌:「……あー」
化野 燈歌:「気合を入れるような理由でも、あったのか?」
シンシア:「だって、今日はバトルの日でしょ?」
化野 燈歌:「……ン」
化野 燈歌:そうだ。今日はステラバトルの日。
化野 燈歌:フラワーガーデンへと向けた筈の脚は、けれど自然に、この列車へと向いていた。
化野 燈歌:ならば、今回はこのような趣向なのだろう。誰の、と言われてもさっぱりだが。
シンシア:視線をネイルの剥げた爪に落とす。些細な、けれど、戻しようのない違和感の残るそれに。
化野 燈歌:「……確かに」もう一度。
化野 燈歌:「もったいないな。折角、綺麗だったのに」
シンシア:「どうせなら」
シンシア:「きれいな私を纏ってほしいじゃない」
シンシア:「バトルがはじまったら何もできないけど。」
化野 燈歌:「……そうか。そういうものなのか」
シンシア:「そうね。そういうものよ」
化野 燈歌:「俺は別に、外見なんて気にしないけど……」
化野 燈歌:言いながら、拗ねたような口ぶりのシンシアの顔を眺めて。
化野 燈歌:「……シンシアは綺麗な方が似合うもんな」
シンシア:「……トーカ。女の子はデートにお洒落していくものなのよ。それを『気にしない』なんて言っちゃあダメ」
化野 燈歌:「ン。違うよ。俺は、俺の外見を気にしないって言っただけで……」
化野 燈歌:言いかけて。
化野 燈歌:「ごめん」謝る。
シンシア:「トーカも格好良く決めてくれてもいいのよ!」
化野 燈歌:「格好良いのは、俺には似合わないだろ?」
シンシア:「新境地を開拓したっていいじゃない」
シンシア:「試してみましょう」
シンシア:「さぁ」
シンシア:「さぁ」
シンシア:「決めポーズと決め台詞を!披露!して!」
化野 燈歌:「今、何を試すって言うんだ……」
化野 燈歌:「……いや、遠慮しておく」気恥ずかしい。
シンシア:「えー」
シンシア:膨れる。
化野 燈歌:初めてのステラバトルでは当然、ないのだが。いつまでたっても慣れるものでもない。
化野 燈歌:膨れるシンシアに、頬を緩ませる。
化野 燈歌:強張った体から力を解き、きつく握りしめていた手をゆるゆると解いた。
化野 燈歌:「……助かるよ」小さく、聞こえるか聞こえないか程度の声で。
シンシア:「──パートナーでしょ」足を組み、窓枠に肘を乗せ、頬杖をついて。
シンシア:眺めた窓には未だ、自分が見える。
化野 燈歌:「だな」
化野 燈歌:「……どうせなら、シンシアと同じものが見れれば良かったんだけど」
シンシア:それを、何も見えていないかのように。目の焦点を微妙にずらして、窓の外の景色を見る。
シンシア:「この先いくらでも見られるわ」
化野 燈歌:窓は見ない。無力さを思い知らされた日を、今尚続く苦しみを、直視出来る程の強さは無い。
化野 燈歌:「……ン」
シンシア:「まだ、この先、いくらでも」
シンシア:「でしょ?」
化野 燈歌:「ああ」
化野 燈歌:過去ではなく、未来を見たいと。
化野 燈歌:果たして、その価値が、今の自分にあるだろうか。
化野 燈歌:「……善処するよ」
化野 燈歌:苦し紛れの言葉を吐いて。それでも、出来る事なら同じ景色を見たいと、そう思う。
化野 燈歌:(時間的にここまでかな)
シンシア:「えぇ。アメリカ基準でよろしくね」
シンシア:日本人の善処しますはわからないわー何のことかしらー
化野 燈歌:「そう言う所、許してくれないよな、君は……」
化野 燈歌:苦笑する。気付けば随分と楽になっていた。
化野 燈歌:助けられてばかりだな、と、そう思う。
シンシア:ふん、と小さく笑って腕を組む。今度こそ車窓から興味を失ったように目を伏せて、しばらくは休息タイムとしよう。
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