生きづらさを抱えた僕たちへ

生きるのって、しんどい。莫大なエネルギーが要る。
一方で、死に直面するのも、くたくたに疲れるくらいエネルギーが要る。
この短編集は、様々な切り口から、僕たちに生きづらい社会で生き、そして死と隣合わせの世界の断片を見せてくれる。
死ぬとは思えないほど無邪気な弟の姿だったり、食物連鎖への嫌悪感から自ら食を断ってしまった少女だったり。
動物と同じく、生きてご飯を食べて、子供を作って死ぬっていうシンプルなサイクルで生きられれば良いのだけれど、人間はそうはいかない。社会的な動物ゆえ、弱いものから奪わざるをえない自分に嫌悪するし、どう生きるか、人生の意味なんか考えて動けなくなってしまいもする。
それでも、そういう生きづらさこそが、人間に与えられた権利であり才能なのかもなとも思う。
どうしようもない世界で生きるために、たまにはこういう物語を読むことが、僕たちにとって大切なことなのかもしれない。

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