探求のパラドックス

プラトンの『メノン』の中に登場する「探求のパラドックス」をご存じだろうか。探求の答えが何であるかを知っていなければ探求はできない。しかし、答えを知っているならば探求の必要はないというものだ。

顔を知らない人を街で見つけることができないのと同じように、答えを知らなければそもそも探求などできないはずだ。答えを知らなければ、仮に答えが導けたとしても、それが答えであると気づけない。

言い換えれば、「答えの出る問い」への答えは既に自分の中に眠っている。そして「探求」とは自分の中にある答えに気づく過程のことと言えるだろう。


なぜこんな、本編とほとんど関係なく、単に知識をひけらかすような話をしたかというと、この話を知っていることで、より深くこの小説を楽しむことができるのではないかと考えたからだ。

しかし、そんな私のおせっかいなどこの小説の力の前では塵芥も同然だ。

とにかく、読んでみて欲しい。
読んだ後、あなたの中の何かが変わるかもしれない。

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