“異世界”が真摯に描かれたファンタジー、奇妙な魂のまじないにかかって

うまそうな平麺と、その市のぼってり蒸した感触に取り込まれて、最後まで一気読みしました。
人々の暮らしの様子がざらざらとした手触りと一緒に伝わってくるようで、魚醤の匂いのぷんと香る世界に足を踏み入れた気分になります。
一語一語、文章のリズムが精巧で小気味よく、作者様の文へのアティチュードを感じるとと共に主人公ユエの肩の力が抜けた調子が鮮明に思い描かれました。
下腹の居候のごとき食いしん坊で、「もう少し読ませておくれ」と言いたいところを、ユエに風のように笑われた、そんな素敵な読後感でした。

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