どうしようもない家族になる

作者 げえる

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★★★ Excellent!!!

二人の会話は噛み合いそうで噛み合わない。でもちゃんと通じ合っている。
バーバルコミュニケーションを囮にして、実はノンバーバルコミュニケーションで繋がり合っている。その会話から、ちょっとズレてるけれど微笑ましいキャラクターが描かれる。
読んでいて、そのリズムとテンポが小気味よくどんどん先に進み、読み終わるとほっこりする。
好きな人(しかもその距離のとり方もお互い独特!)と深夜に餃子を食べる物語というだけで、こんなに面白い小説を書けるなんて、なんということでしょう!

読んだ人は幸せな気分になり、そして必ず餃子が食べたくなります。

★★★ Excellent!!!

会話のテンポが本当に心地良い短編。主人公が心を寄せる相手がちょっとダメな先輩というのも良い。不完全な二人が、とにかく真夜中に面を合わせて餃子を食べる、という点に全力を尽くしているから、ラストの鮮やかさがいっそう際立つのだと思います。時々気分転換に読み返したくなるような、気持ちがいい晴れた朝、窓を開けて深呼吸したくなるような素敵な作品でした。ぜひ!

★★★ Excellent!!!

あー、オッケー、わかった。この作者さんにはなにを書かせても面白いのだ、きっと。そうにちがいない。
そうしたある種、読み手への「あきらめ」すら感じさせる筆力。え、こんどはなに書くの? でもやっぱり面白いんでしょう? と。

でもなぜこうもあきらめてしまうのか。この作品の梗概なりプロットなりをポンと渡されて、たとえばわたしが書くとします。ええモチロン盛大にコケます。ふつう、このテーマは面白く書けないし書こうとも思わない。でもこの作者さんは違う。どんな題材も、どんな読み手も、説き伏せてしまう。

この筆力を前にしてはシチュエーションだの設定だの、しょせんは細切り大根です。メインのお刺身本体が素晴らしいのだから。

ゆえに、薬味や大根や枝葉末節にこだわらず、どん、と差し出されたお刺身をたらふく味わいましょう。面白いかな? ではなく、つぎの面白いものはなにかな? と。

わたしたちは無意識のうちに評定を試みます。もちろん先入観は排すべきですが、構えないで読んでみてください。騙されたと思って。騙されます。それが楽しいんです。

ひさびさに文章力でコテンパンにされました。また読みに伺います。

★★★ Excellent!!!

2020年の夏は、みんなが去年思い描いていたものとはまるで違うものになってしまった。
本当ならオリンピックが始まるために街は活気づき、電車は満員、都内は大混雑、ひとびとがあふれ騒がしいものになっているはずだった。
それなのに、ステイホーム。
この『2020夏物語』でもコロナを扱ったものが多いようで、がっくりする。架空のコロナがない2020年でもいいんじゃないかなぁ――?

ところがこの作品はコロナのある2020年を逆手にとって、ソーシャルディスタンス、ステイホームをキーワードに一組の男女が親密になっていく様子を描いている。

コロナなのに?
コロナだから?

この辺はぜひ読んでみてほしいところだ。
コロナだって、それを上手く利用してしあわせをGETすることができるのだ。マジック!

「餃子」とソーシャルディスタンスを用いた恋愛攻防戦を楽しんでほしい。

こういう現実の2020夏なら大歓迎だ。