モブ騎士女子の狭くて広い日常譚

騎士道物語を熱愛し、異世界転生物語に感化されたミリアーネは、自分も特別な力を持つ主人公なのではないかと信じて育ち、ついには騎士へと成り仰せた。が、前世の記憶を持たず、特別な力に目覚めもしないことから、彼女は現実を直視する。自分はモブキャラなのだと。あっさり死んでしまわないため、努めていかなければならないのだと。

そんな自覚から始まるミリアーネさんの物語、ジャンルとしては(女子騎士の)日常ものになるのですが――「モブキャラ」というキーワードが本当によく生かされているのが最大の特徴です。“モブだから”という展開があり、“モブだけど”という展開もある。モブという言葉の意味をひとつに絞らないことでキャラの個性を最大限に生かし、小さな日常話の幅をぐぐいと広げているのがすばらしいんですよ。

自覚系モブキャラが小さな努力を重ねて行き着くゴールはいったいどこなのか? 今後の更新が待ち遠しい一作です。

(「こんなときだからこそ笑いと元気!」4選/文=髙橋 剛)

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