病床の正太郎と、共にオリンピックを見る約束をした主人公の願いは叶うのか…という作品です。この約束の守り方は素敵すぎる~!!!と、叫びたくなりました。とてもキレイな作品でした!!
病室に幼馴染を見舞いにやってきた主人公。幼馴染はむづかしい病気にかかっていて命の期限は近い。スポーツ好きで、オリンピックを楽しみにしている。東京オリンピック開催まで1年をきったという時期。主人公は幼馴染と約束をします。タイトルそのままですな。ふたりはどうなるのかハッピーエンドはありえるのか。東京オリンピック、延期というより中止になりそうな雲行きですけれど。
一緒に高校に入学してすぐに発症した彼の病気は、瞬く間にその体を病院のベッドから離れられなくしてしまった。来年オリンピックには病院の完治は難しく、一年持つか分からない。前半は切ない予感をさせつつ、後編で意外な事実を告げられびっくりでした。
タイトル等から感じる印象と、読後の感想は大きく異なる事でしょう。ただでは終わらせない、そんな渋い技工が光る作品です。これ以上は言えないので、後は自身で読んで体感してみて下さい。
あと一年持つかどうかわからない彼との約束。「来年開催するオリンピックを一緒に観よう」果たして……ネタバレ注意な短編。オリンピックの使い方が上手いです。切なくて純粋で、そして「あっ!」と驚く展開。読後感最高です。
短編のため、多くを詳しく語ることはできないのですが……本作を読むと、「物語を導くのは作者である」ということを、改めて強く感じさせられます。自分の求める物語を、自在に描き出せる喜び。やはり物語を紡ぐって素晴らしい。そんなことを素直に感じさせてくれる、味わい深い短編でした。
ハッピーエンドだなんて、口が裂けても言えな……もがもがっ。
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