銀杏から始まる物語。巫女見習いと腹黒宮司のときめきストーリー

 女学生の糸川繭子は幼馴染にそそのかされ、神社で祀られている夫婦銀杏に実るギンナンを取っているところを宮司の壱重基経に見つかってしまう。罪滅ぼしに巫女見習いとなるように言われ、神社の仕事を手伝ううちに基経と交流を深めていくことに。巫女見習いの女学生とイケメン宮司の神社ラブストーリー。

 主人公の繭子はしっかりもの。若くして宮司を務める基経は清廉な好青年ですが、ちょっと腹黒い。そんな二人が神社のお仕事を通じてゆっくりと心を通い合わせていく様子がときめきます。

 繭子の罪悪感を利用して労働力にしてしまったり、神社のギンナンが女子に恋のおまじないされていること知るや、お守りとして売り出してしまったりと、基経の経営者としての有能ぶりが光ります。

 働き者の繭子のことを気に入って基経は巫女として誘い、不本意ながらも嫌とは言わない繭子の二人の間に次第に芽生えていく想いがもどかしいです。

 SNSやスマホもない昭和の時代の女学生の日常を描く、ノスタルジックでロマンチックな恋愛ものです。


(「昭和レトロ」4選/文=愛咲優詩)

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