群馬県の高校に通う女子高生の田中美希は、旅先で同級生の山田万里香と遭遇する。教室ではいつも一人でいる彼女の趣味が廃墟巡りだと知った美希は、日常に変化を求めて万里香と一緒に旅をすることに。女子高生の廃墟巡り旅行記です。
社交的で陽キャな美希さんと、ぼっちで陰キャな万里香さん。一見、ミスマッチな凸凹コンビの二人が、さまざまな廃墟を目指してタンデムツーリングに出かけます。
かつては鉱山で栄えた群馬の旧太子駅、バブル期に建てられた鬼怒川温泉のホテル群、栃木県市貝町の廃病院、経営難で廃業した日光市のウェスタン村などなど、廃墟マニアなら垂涎の名所といったところでしょうか。まるで別世界を覗いているような不思議な感覚の旅行体験がワクワクしてきます。
朽ち果てた建物が並ぶ光景には侘しさ寂しさもあるが、それだけではない温もりを感じる。廃校になった小学校は、昔は児童が笑顔で通っていた場所だ。駅もホテルも病院も遊園地も、たくさんの人間が必要として愛された場所でした。役目を終えた後も、人々の記憶に残り大切にされている。そんなところが廃墟の魅力なのでしょう。
建物に刻まれた人々の営み、人々の思いがみえてくる。廃墟探訪の旅に、あなたも浸ってみませんか?
(「昭和レトロ」4選/文=愛咲優詩)