女学生の糸川繭子は幼馴染にそそのかされ、神社で祀られている夫婦銀杏に実るギンナンを取っているところを宮司の壱重基経に見つかってしまう。罪滅ぼしに巫女見習いとなるように言われ、神社の仕事を手伝ううちに基経と交流を深めていくことに。巫女見習いの女学生とイケメン宮司の神社ラブストーリー。
主人公の繭子はしっかりもの。若くして宮司を務める基経は清廉な好青年ですが、ちょっと腹黒い。そんな二人が神社のお仕事を通じてゆっくりと心を通い合わせていく様子がときめきます。
繭子の罪悪感を利用して労働力にしてしまったり、神社のギンナンが女子に恋のおまじないされていること知るや、お守りとして売り出してしまったりと、基経の経営者としての有能ぶりが光ります。
働き者の繭子のことを気に入って基経は巫女として誘い、不本意ながらも嫌とは言わない繭子の二人の間に次第に芽生えていく想いがもどかしいです。
SNSやスマホもない昭和の時代の女学生の日常を描く、ノスタルジックでロマンチックな恋愛ものです。
(「昭和レトロ」4選/文=愛咲優詩)
物語は比較的緩やかに進んで行くイメージ。
今やこの業界、トントントーンと進んでゆくのが望まれますが、こちらの作品は
脇キャラとのやりとりも丁寧に描かれており、神社行事なども判りやすく
読みやすく配慮されていてですね、その間に「しっとり」と「密やかに」恋愛が差し込まれています。
ここに私は物語設定にある「時代」をしっかりと感じられました。
この淑やかさを感じさせてくれる本作は今後何やら「怪異」も訪れるとのことで、どんなエッセンスになるのだろう、二人は一体どのような進展を見せてくれるのかと、すごくドキドキしました。
今後の展開が楽しみな作品です。是非たくさんの人に堪能して頂きたいです!