小説家になろうと頑張るすべての人たちへ

小説家になろうと頑張るすべての人たちへ。
あるいは、小説家になりたかったすべての人たちへ。
これは、あなたのための物語。



この作品には、ふたつの軸がある。

ひとつは、凛とした美少女で、ちょっとだけ毒舌な、気心の知れた間柄である幼馴染が、あるきっかけからグイグイ迫ってくるというイチャイチャラブコメ。
もうひとつは、小説投稿サイトで小説家を目指す少年が、夢に向かって努力し、挫折し、乗り越えるという熱い青春のエピソードだ。

表のテーマと、裏のテーマ。
そう言い換えてもいい。
このふたつの軸が渾然一体となって、ひとつの、骨太な物語を形成している。

つまりこの作品は、単にラブコメであるのみならず、『カクヨム』のようなサイトに小説を投稿している皆へのエールにもなっている。
私にはそう感じられた。



軽快なテンポで語られるストーリーは、ほどよいジョークをコメディタッチにはさみながらも、ときに力強く、情熱的な描写で読むものに迫ってくる。
その緩急のつけかた、感情の揺さぶりかたは、なかなか巧みなテクニックで、思わず息を呑む。

主要人物は二人にしぼられ、話の構成としてはコンパクトでありつつ、幼馴染ものらしい過去の逸話が随所にはさみ込まれ、二人の気持ちが揺れ動くさまを丁寧に描いている。

そして、やはり私が推したいのは、小説家を目指す少年の心の葛藤。
表現の道はしばしば苦しく、耐えがたい。
そんな時に、この作品のことを思い出してくれたら、ひとりで思い悩むよりも、少しはマシになるかもしれない。
これは、そんな物語。



ちょっと甘々気味ではありますが、ぜひご賞味ください。

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