妖しくも美しい極北の森と海。夢幻のようなファンタジー

自然の営みをあらわす美しい描写が特筆ものです。静謐で抑制のきいた文章、独特な改行のリズムに、森に響く叙事詩を読むような心地がしました。
エピソードに魔的なものが混じると、美しさのなかに妖しさを孕んで、仄かな色気さえ漂います。

本作は第二部ですが、エピソードはほぼ独立しているので、こちらから読みはじめても問題ないと思います。(第一部を読んでからだと、さらに良し。第一部は、祖国を失った主人公たちが安住の地を求めて彷徨する物語でした)
第一部で幾多の苦難を経た美少女に幸あれと祈らずにいられません。幻力の森を危なっかしく冒険するのを、はらはらしながら見守っています。

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