内容はいわゆる内政チートモノでしょうか。
世界観的には『転生して俺TUEEEを望む世界を、冷めた目で進む主人公の物語』です。
ただ、これはやっちゃダメでしょ的な設定が入っちゃったせいで全てが破綻してます。
世界は使徒が望むイベントを意識無意識に関わらず用意してしまう。
そして、主人公がそれを認識してしまった。
もうこれだけで物語なんて成り立ちません。艱難辛苦何があろうと、全てお膳立てされたご都合主義でしかなくなります。
あと、使徒に頼らなくて良い場所が欲しいと言って、国?領地?を作ってますが、今その場所にいる人達は元々あまり使徒に頼らないで生活していた人達ですよね?
わざわざそこに使徒である主人公が出向き、内政チートかましてるのは矛盾してませんか?
ベースとなる発想は面白いです。
この世界の感覚からすれば彼だけは他の世界の価値観で動こうとする狂人なので、それにどう折り合いを付けていくか興味深いところです。
キャラクターは女性陣はなかなか楽しい面子が揃ってきていますが、男性が少なすぎますね。
難点としては主人公の性格がブレブレです。
理性的で慎重、主張も理屈っぽいタイプのはずなのに、やたら女性に甘く、急に結婚を決めたり慎重さや主張がなくなって軽率になるのが違和感しかないですね。
論理的に進めたいのは分かりますが、本文の説明が冗長で例えも分かりづらいので、読みづらく感じるところがあります。
まだ一章を読み終えた段階なので今後に期待したいです。
チート転生者が定期的に送られてくることで人任せ体質となり進歩が止まった世界。そんな不完全な世界を作った神と戦うために与えられたチートを全く使わずに、人任せにしない世界を作ろうと動き出す。それこそが主人公の刃。
「でも、俺の刃はアンタまで届く」
このセリフが超かっこいい。
この物語は一見内政チート俺TUEEEにも見えるが、根本的に違う気がする。
安易なチート転生者によって停止した世界と停止させた神、その両方と戦う物語なんじゃないか。戦うために必要な「武器」として、主人公は与えられた力は使わず、自前の知識と能力と経験値、さらには自分の命までかけて戦っていく。チート転生者を相手にしても与えられた力は使わない。使わないことを最大の武器として戦う。このあたりが超かっこいいと思うんだよ。
なんかやや辛口レビューが多めな気がするけどもっと評価されるべき作品じゃないか。だってこれ面白いでしょ?
使ってくれという、力を使わず、知識という力を使い、人を遣う。そのロジックに多面の書物を読み、消化し作品に盛り込んでいる。
こういう作品は総じて、『ご都合主義』となりやすいが、この作品は『ご都合主義』そのものを排除しているのが凄い。
説明(地の文)もくどくなく、またかといって堅苦しくないため読みやすい。
なにより、主人公がヒロイン至上主義で無いこと、そして、力でなびかせるのでなく、心を動かし落としているところも素晴らしい。
さらに、サイドキャスト陣も被ることの無い個性派揃い、ゴールデンウィークを費やして一話から一気に読んでしまいました。
あえて言うなら、こういうしかない。
『もげろ』と。
そして、追記をするならこう書くしかない。
『続きはよ!』で、ある。
はっきり言います、時間がある時に読むことをお勧めします。
理由は、『続きが気になって、睡眠時間を削る』事になるからです。えぇ、気がついたら日が上ってた、が普通に起こります。
なので、自制心を試される事になります。お気をつけ下さい。
最初は単純なテンプレから逃れたい物語なのかと思ったけど、そんなものではなかった
途中まではそれなりに物語をしているが、中盤からは雲行きが怪しくなる
人間や、国の考え、感情までもに理屈をつけて、それらを理解しているような主人公が、アームチェア‐ディテクティブをしている様な雰囲気を感じる
勝手に感じているだけだが現代風刺に感じられる描写が多く、途中からは物語が表現したいものというより、論語のような内容になる。
要するに、1話ごとに1つのテーマについて、主人公を通じて筆者の考察が垂れ流されるようなもの
テーマの提示は一応物語の内容に準拠しているがまあどちらを主張したいのかは読んでいればなんとなくわかる
①色々な人の感情や、行動原理に理由をつけて行く事
②それなりに納得出来る理屈が並んでいる事
③ただし、それが本当に正しいのかは無理数が本当に無理数であるかを証明するかのような難しさであるため、最後は信じるしかないところ
この辺りが宗教のように感じる。考え方は非常に面白い。基本皮肉が効いていて捻くれている点も好き
1~2章はほかのレビューにもある通り単なるなろう系のテンプレに対するアンチメタに過ぎなかったんですが、3章から方向性をグイッと曲げて、とにかく内政もののお手本のような政治を繰り広げる作品になりました。
以下、軽いネタバレを含みます。
最初に2章読んだときはそんな荒唐無稽な!となっていました。
いままでの使途はどんなことをしてきたのか、ただただそれを主人公目線であきれかえらされるだけのお話です。
それを踏まえた3章からは、じゃあ今までの使途のよくなかった箇所はどこかを分析して、使途としての力をできる限り使わずにどこまでこの世界をよく出来るかというところにテーマが置かれるようになりました。
それによって、差別と宗教の問題に真摯に向き合う主人公のドタバタ劇がメインになりました。
多種族国家で被差別階級が存在するときにどうやれば差別をなくせるのか、そこにテーマが置かれているような気がします。
戦争に乗り気でない主人公が心を痛ませるのも大変に心にグサリとくる描写で、この作品の良いところだと思います。
内政ものが好きな方は3章からが本番と思って読んでみると良いと思います!