薪者駄助の化物遣い

「君は化物を信じるかい？」
男は言う。その表情の奥に笑みを隠して、
まとまっていない髪の上に乗ったシルクハットを手にとって、眺めながら続けた。
「ま、今は応えなくてもいいさ。いずれ嫌でもわかってくる。わかるというより感じるのかもね。そんな気がする…とか。ほら、よく言うじゃん。嫌な予感がする…って、人間的な本能で。」
最後には、その帽子を投げ、脇に置いてあったカバンから全く同じ形の帽子を取り出して被る。そのカバンにどのように収納していたのか、不思議でならない。そして最後に男は、奥に隠した笑みをなくし、睨んだような目つきで、地獄の底から響きわたるような声でこう言った。
「いいかい？これだけは忘れないでおくれ、君たちは生きているのではなく[生かされて]いるんだよ。」
そう言った瞬間、意識が遠のいて行く……