第5話
校長先生というなんとも忌々しい名前を出されると、退学が怖くて、なかなか交渉に手を出せない。畜生め。覚えておけよ。
覚えていたところで何もできないが。
「じゃあ、しょうがないか。」
「鬼って単語が出てきた時点でおまえの件だろ?本当ならタダで請けるって言っても良かったんだぞ。」
「それは…ごめんな」
「大嶽丸(おおたけまる)には聞けないのか?」
「ああ、今あいつは寝てるよ。鬼にとっちゃ日が出てる方が夜みたいなもんなんだってさ。」
「根元を叩き終わるまではどのくらいかかりそうだ?」
「場所とかの情報を貰えれば、1か月くらいかなあ…」
「了解。みんなに伝えておくな。」
キーンコーンカーンコーン。
ちょうど、昼休みの終わりのチャイムが鳴り始め、俺たちは図書室を出てそのまま教室へ、午後の授業は受けざるを得なかったので、ノートを取るフリをして、他の生徒などに聞いた情報を、落書き程度の簡単なイラストでまとめ、パンデミで撮って保存した。
(自分のイラストは誰にも見られたくなかったので、撮った後はページを丁寧に手で切りとってから、グシャグシャに丸めてゴミ箱にホールインしておいた)
学校ではパンデミは使えないという規則があるので通常ダメなんだけれども、目を盗んで使う輩も必然的にいたので、彼らの行動を参考にさせてもらった。どんなにくだらないと思うことでも意外なところで役に立つものである。本来この言葉はここで使う場面ではないと思うが。
あとは先生(肩書き)の十分くらいの長い話を聞き、パンデミを開いてサバゲーの[平野行動]をプレイしながら帰った。
やっぱスマホのゲームはサバゲーに限るよなあ。
「ただいま〜」
帰還である。
母に返事を返すのは非常に面倒くさいので、
居間を通り抜け自分の部屋に向かう。
無駄に広い屋敷なので、居間から自分の部屋まで歩いて五分くらいはかかる。
少々辛いけど、もう慣れたし、自分の部屋とはいったが、その広さゆえに家という人もいるのだ。我慢できる。
ガチャッと部屋に入って電気をつけたところで、やっとあいつが喋り出した。
「そう言われると喋らなきゃいけねえじゃん。めんどくさ。」
つれないやつだなあ。
薪者駄助の化物遣い きょむロット @kyomurotto
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