第3話
うわ。
と言うのが正直なところだ。
わざわざ振り返らなくても分かるその声は、
嫌味なほどに陽気で、もはやこの時代しつこいようなツインテールの同級生の女子、
白ヶ崎 臨子(しろがさき りんね)だった。
普段から相当毛嫌いしてる俺が紹介するプロフィールだからこうなってしまうが、多分他の人が白ヶ崎を紹介しようとするならば、
ここまで悪いイメージを押し付けはしないだろうと、断言出来る。
実際悪い人ではないし、むしろ他人からしたら大層いい人なんだろうと思う。
ただ、その良さは俺からすると至極面倒なのだ。
なんでも知りたがるから、俺の秘密に関しても全て知られている。
厄介だ。
で、なんだっけ?
運命の人?やかましいわ。
そういえば最近学校でこんな噂を聞いた。
「白ヶ崎はその可愛さ故に、80人いる同級生の男子生徒のうちで39人 に告白されて、その全員を振った。」
というもので、何か関係している節があると
思わずにはいられない。
まさか本人から俺を釣って、そこから振ることでぴったり40人目にしようというのだろうか、というのは流石に考えすぎか?
とかなんとかを3秒程度で瞬時に考え、ついに口を開くことにした。
「こんな単純な運命の人の出逢い方があるか。俺はそうやすやすと籠絡させられはしないぞ。この魔性め。」
「え?私は普通に駄助くんのこと好きなんだけど……あ、待って!今のなし!」
「ん?ああ、演技うまいなぁ、流石は39人を惚れされただけある。」
「そうじゃないんだけど…ま、いいかそういうことで。」
「ねぇねぇ、それでさ!」
そう言って話を繋ごうとする白ヶ崎。
こいつと話すのはめんどくさいんだよなあ。
うっかり情報を明かしてしまったらどう責任を取ってくれるというのだ。
仕方ないな。あの手を使うしか……
「ほれ。」
なにも聞こえないはずだが、俺の耳には謎の
[ムニッ]という音が聞こえる。
そのぐらい柔らかかった
「ひゃあ!」
その声を聞いた時には既に、[ものすごいビンタ]をくらっていた。
威力は[ものすごい]というだけあって、当たった後に5メートルくらい吹っ飛んで、石でできた塀に激突した。
そしてだんだん視界が閉ざされていく…
ハッとしたころには地面はかなり熱くなっていた。
頭部にズキズキした痛みを感じる。
「イッタ…」
思わず思ったことが声に出てしまう。
仕事柄、結構強い衝撃には耐えられるが、素の状態ではやはりキツい。
頭のてっぺんの方が少し腫れてはいるが、いり血が出てないのが唯一の救いである。
学校に行ったはいいものの、流血してて
平気なのに病院に連れていかれました。
なんて大変だ。
今日は仕事の依頼があり、依頼者から事情を聞いたりして、コミュニケーションを取らなければいけないのでなおさら。
白ヶ崎もいなくなってるし。
まさかと思って最新型携帯[パンデミア・フォン]通称[パンデミ]を開いて時間をみると、想定するにアレをくらってから有に3時間経過していたらしい。
倒れている間誰にも見られ無くてよかったものだ。
3時間を気絶という、ある意味睡眠として費やし、その後誰にも会うことなく、バリバリ遅刻して学校に着いた。
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