「郷愁」を描くとき、夢に破れた悲しみはつきものです。そこに生まれる共感が魅力ではあるのですが、本作品はそれを重く語らず、優しくて温かい「帰れる場所」を要にしているところが印象に残りました。今の自分がどうであっても、変わらずに迎えてくれる人がいるのは、とても幸せなこと。そう気づかせてくれる物語でした。
四国の田舎にUターン、あれ? お題はお祭り。先取りしていますね、いま気づきました。都会に行けば楽しませてくれるそんなはずはないわけで失望して田舎にもどる人は多いでしょう。そんな普通の若者の主人公。地元には幼馴染がやっぱりもどってきていて。田舎の小さな世界でも幸せを見つけられそう。人間が集まって都会を形成するという時代は去ってゆくかもしれません。未来の世界は、こんな小さなものになるかもしれませんね。
私は高知県民であるから本作の雰囲気がいつも以上に良く分かった。カツオのタタキにはニンニクを添えねばならず、ゆずジュースはごっくん何とか村でなければならぬ。いや、高知と決まったのではないが、つい決めつけてしまった。 詳細本作。
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