終 -星に願いを-
それから数日後、ファミリー生活区画へ玲那斗は引越しをすることになる。イベリスと二人で話し合い、星空が一番よく見える場所を選んだ。同じシングル暮らしであったルーカスとフロリアンとは離れる事になるが、チームが変わる事はない為共に行動する機会が減るわけではない。引越後はブライアン隊長も含めて四人、さらにイベリスも含めて五人でささやかな昇進祝のパーティーを新居にて行った。
かくして世界特殊事象研究機構 大西洋方面司令 セントラル1 -マルクト- 所属部隊 マークתによるリナリア島の怪奇現象調査は幕を閉じた。
千年前、地獄のような炎の中で少女が願った祈り。どれだけ月日が流れても、どれだけ歴史が作られても変わらぬ想いが確かにそこにはあった。イベリスにとって玲那斗という存在こそ自らを醒めない夢から引き上げてくれた光であるように、玲那斗にとってイベリスは千年の過去より届けられた輝かしい星の光であったのだ。
星の光が煌めく夜
花の甘い香りが周囲に漂う
彼は静かに眠る
その傍らで少女は窓辺に立ち夜空を見上げていた
空から光が降り注ぐ
少女の美しい白銀の髪は金色に染まる
淡く照らされる空間
音一つ無い二人だけの世界
その手を伸ばして
私の手を取って
私の眸を見つめて
私の声を聞いて
もっと近くに貴方を感じさせて
もう二度とさようならは言わないで
-了-(【アイリスプロセス -虹の彼方に-】へ続く)
イベリスの箱庭 リマリア @limaria_novel
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