素敵な存在だったと思いださせてくれる。その、楽しかった記憶とともに……

 公園にある遊具にスポットをあてた短編集である。
 最近では、危ないからという理由で、各地の公園から姿を消しつつある遊具たちだが、今の大人の人たちは、誰しも、一度は遊んだことがあるはず。その時のワクワクが、ここに蘇るかもしれません。
 ちょっとだけ、当時感じた、冒険心や征服欲や達成感が思いだされるかもしれません。

 そんな遊具のどのお話を選んでも、なぜかちょっぴりせつなく想うのは、わたしだけでしょうか?
 遊んだ記憶がないことを残念に想うのは、わたしだけでしょうか?
 幸せにも、こんな遊具たちで遊んだ記憶のある人たちには、共感してもらえるでしょうか?

 短めの各話と、主人公は、あくまでも読者。遊具たちが擬人化されているわけではありません。しかし、それぞれの遊具たちのお話、オチが、また素敵に綴られてます。

 この物語は、せつなく想う反面、こころが暖かくなります。少しずつ紐解いてほしい短編集です。
 公園の木陰のベンチで読むのが良さそうです……。

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