059「夜宵 〜トマトと卵のラーメン〜」/ゆげさん ※本文引用あり※長文※追記あり※

https://kakuyomu.jp/works/16817330662283997497


 飯テロ小説です(にっこり)。


 読んだら絶対ラーメン食べたくなるから先に食べてから読もう! って本当にインスタントラーメン食べてから読んだのに、読み終わったらまんまとトマトと卵のラーメンが食べたくなったので!!

 だからもう、みんなお腹空いた状態でしっかり読んでから、がっつりラーメンを食べたらいいと思うの!! 夜中に!!

 トマトが安い時期になったらもう一回ちゃんと食べるって決めてるんだ、私。



 好き勝手に語りますが、ただの素人の、浅い人生経験からの妄想含むあくまでイチ個人の感想ですので、どうぞご了承ください。

 主人公より、お兄ちゃんの気持ちの方が私には近しい気がしました。長いです。見当違いなことを言っている可能性もありますので、お気づきの点がありましたらどうかご指摘ください! 先に謝っておきますごめんなさい!



【以下本文引用(「西紅柿雞蛋麵」 より)】


 両親、特に父は私のことを娘だと認めてくれたことなんて一度もなかった。兄と違って、私は両親の望むようにはなれなかった。兄が羨ましかったけれど、かと言って兄のようになりたかったわけでもない。私はただ「私」を見てほしかっただけなのに。


【本文引用終わり】


 ご両親は真面目で、一生懸命子育てしてたんだろうなと思います。子供が将来こうなってくれたら、こう育ってくれたら、みたいな理想もあって、お父さんもお母さんもいっぱい悩んで、夜中に話し合ったりしてたんだろうなあと思います。ご両親の仲が悪くないのは救いです。


 特に長子は「その家の子供代表」のような自覚があるのか無意識か、どうにも親の「こうなってほしい」気持ちに一番大きく影響を受けてしまいがちな気がしていて(※個人の見解です)、お兄ちゃんは(親譲りかもしれない)真面目な性格でその通りに育って、ご両親としても最初の子育てはいわゆる「普通の子育て」だったんだと思います。


 主人公はきょうだいの二番目の子です。いつの頃から心と体に矛盾を感じていたのか。人生うまくいかないもどかしさを、きっと自覚はなくとも幼少期から感じていたのかもしれません。

 なんで同じ親から生まれたのに、お兄ちゃんは「普通」で、自分は「普通」に違和感があるんだろう、とか、悶々としてたんじゃないかなと。辛かったと一言で済ませられるような葛藤ではなかったと思います、学生時代は特に。


 きょうだいの下は上を見て育つので要領がいいと一般的に言われますが、それにしても主人公は、ご両親からしたら「なんだか子育てがうまくいかない」「二番目だから子育てもわかっているはずなのに上の子より難しい」と思うような子だったのではないかと思います。

 お母さんは特に、お兄ちゃんに「あの子はちっとも言うことを聞かない、お兄ちゃんとは違う」みたいな愚痴をこぼしていたのではないかなと、勝手に想像しています。

 でもお兄ちゃんは「この家に生まれた子供の気持ち」(親が口うるさいとか、親が思い通りにさせたがるとか)も理解できるので、主人公の気持ちに家族で唯一寄り添える存在だったのだと思います。


 お兄ちゃんは、おそらくですが、どうしてそんなに主人公が両親に反発するのか理解しにくい反面、自分を曲げない主人公の強さを羨ましく思っていた部分もあったのではないでしょうか。そんな気がします。


 両親と、主人公の、緩衝材的な役割だったお兄ちゃんが家を出てしまった後は、直接の衝突が繰り返されて、家庭内はそりゃあギスギスしていたんだろうなあと思いました。


 「たまには帰ってきたらどうだ」という誘いは、ご両親の主人公に対する大きな歩み寄りだと思います。それにお兄ちゃんと主人公が揃っていた頃は、家族それぞれいろいろ思うことがあってもやっぱり楽しかった思い出もあったはずで、二人の仲がよかったのもわかっていたでしょうから、主人公がいることでお兄ちゃんが少し元気になればと思ったんじゃないのかなと。

 純粋に主人公の顔も見たかったというのもあったはずです。ただ、主人公は予想以上に突き抜けて変貌していて、ご両親はさぞびっくりしたでしょうね……。あのよそよそしさはびっくりの現れだと思います。


【以下本文引用(「深夜放毒」 より)】


「何も間違ってないんだ、僕たちは」


【本文引用終わり】


 お兄ちゃんのこのセリフ。僕たちは。


 お兄ちゃんは真面目で長子な性格が災いして、仕事も「頑張らねば」「期待に応えねば」を余計に感じてプレッシャーになっていたんだろうなと思います。きっと体が先に悲鳴をあげたんですね。しかしそこで病院に行けてよかった。(そして社長さんがいい人で本当によかった!!)

 実家での療養中、あまり実家が好きではないはずの主人公が二泊三日で来てくれたこと、頑張り方を間違えて倒れてしまったけどやっぱり仕事は頑張りたいと思っていること、帰れる実家があって迎えてくれる両親がいること、実家に帰るにあたって主人公が「今の自分」をまったく隠すことなく振る舞っていること。

 紆余曲折あって、今がある。紆余曲折あったから、今がある。

 それらをすべて含めての、セリフだったのかなと思います。


 実家に帰るにあたって主人公が「今の自分」をまったく隠すことなく振る舞っていること。

 これはお兄ちゃんとしても、主人公が強くなった、自分らしくなれたんだと、嬉しく思ったんじゃないかと思います。同時に、やっぱり少し羨ましく思っていると思います。

 そんな主人公が自分を労って、励ましてくれて。あの頃とは逆に。

 最大の感謝と、リスペクトの意も込めての、SNSの一言、そして主人公の名前をしっかりと呼んだのだと、私は思いました。



 以下、余談。


 私はこの小説の、改稿前を知っていることがちょっと自慢です。改稿前の、叙述トリック的な物語だった頃も、個人的には好きです。


 出会いはこちらの企画から。例によって。


「【先着30名】じっくり読みこんだ本音感想を書く企画2023」

https://kakuyomu.jp/user_events/16817330661249013634


 参加の20数作の中、梶野さんがしっかり褒めていた数少ない小説のうちのひとつでした。

 そこからゆげさんは、改稿に悩んで悩んで取り組まれていた様子だったので、落ち着いたらまた読もうと思っていました。今回のカクコンにも参加されて、あれよあれよと評価が増えて、さもありなんという感じです。読み直しが期間中に間に合ってよかった。(レビューはごめんなさい!!)

 

 あのですね、私はこの小説を実写ドラマ化してほしいんです。二時間くらいの。地上波で。映画じゃなくて、もっと身近な題材としてテレビドラマ化してほしい。

 主人公は化粧映えする塩顔イケメン系でお願いします。



【2024年6月追記】


 ふふふ。にっこり。


https://kakuyomu.jp/contests/kakuyomu_web_short_2023


 はい、さもありなん。

 第9回カクヨムコン 短編特別賞受賞おめでとうございます〜〜!! いえーい!!


 特別賞くらいは受賞するんじゃないかと思っていたんですが、ほらね。やっぱり、でしょでしょ。私は何もしてないけど鼻が高い。なんせ横で見てましたから!(笑)

 なんかメディア化しないかな~と期待してますがどうだろ。その後、何か展開があったら嬉しいなと思ってます!

 まったく読者冥利に尽きますね。いえーい!!(2回目)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

※あくまでイチ個人の感想です 小豆沢さくた @astext_story

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ