058「灰髪のアーシャ」/星太さん ※ネタバレあり※本文引用あり※長文※

https://kakuyomu.jp/works/1177354054921039598


 容赦なくネタバレします!! ごめんね!!!!

 読んでない人、ブラウザバック! たった21万文字ちょっとなのですぐ読んできて!!


 ていうか本当に21万文字強しかないの? 倍以上読んだくらいの濃密な物語でした。

 何を言っているかわからないと思いますが正直に言います。


 です。


 他にある? 史上初じゃない!? どっか少年誌拾って!! ほら早く!! 新しいジャンルを開拓チャンス! コミカライズしてアニメ化してよー絶対映像映えするよこれーーー!!



 作り込まれた世界設定ですが、樹士きしとか赤炭せきたんとか、響きも親しみやすくてすぐ入り込めます。赤炭を燃料とする大陸円環鉄道とか。大陸地図がシンプルなのもいいです。イメージしやすい。


 バトルあり、恋愛あり、葛藤と成長あり、の、いろんな意味で熱い熱い少年漫画的王道ストーリーでした。ちゃんとハッピーエンド!


 バトル描写、特筆ものです。文字で読んでるのにバチバチに目に浮かぶ。あと技名ですね。

 「第27話 ずっと一緒だから」とか、切ない展開なんだけどバトルが熱い。


 成長株はなんと言ってもダニーでしょう!! まっすぐで素直で一途で……!

 でも彼は主人公じゃないんですよね〜。なんなら私はダニーヒロイン説を推します。

 だってさーーー! 闇堕ちして主人公に救われるんだよこの子!


【以下本文引用(第21話 残酷な希望 より)】


「(前略)絶対……絶対救ってみせる――私の手でッ!!」


 ママを焼いてしまったあの日から、いつも私を守ろうとしてくれたダニー。今は私が守る番だ。必ず、ダニーの魂を取り戻す……!


【(第34話 預言の子 より)】


「オレと……ママ達と、ここで『穏やかな生』を送ればいいじゃないか。そういう預言なんだろ? ダメか? アーシャ……」


【本文引用終わり】


 このけなげさ!! 「オレと……」っていう一言がもう圧倒的ヒロイン!!


 でも一番少年漫画してるのもダニーなんです。


【以下本文引用(第59話 初めからずっと より)】


「……炎が……怖くて――」


 自らを奮い起たせるように吠え、ダニーは立ち上がる。


「――アーシャを……守れるかよッ!!」


【本文引用終わり】


 ダニーーーーーー!!!!(感想メモの叫び)


【以下本文引用(第44話 弱者の剣 より)】


「(前略)特別講義だ――とっておきを見せてやる」


 トルネードは二刀を重ね、二枚刃の一刀のように両手で握りしめると、右肩越しに峰が背につくほど振りかぶった。さらに上体を右後にねじり、限界まで旋回の力を溜める。


「奥義――≪天鳴神あまのなるかみ≫!!」


【本文引用終わり】


 師匠の奥義、からの!!!!


【以下本文引用(第61話 想いの果て より)】


 ダニーはドーム天頂で静止すると、炎の二刀を一刀のように重ねて強く握り締めた。


「――技はトルネードが教えてくれた。体はママが育ててくれた。燃える心は、アーシャがくれた。これが、≪オレの剣≫――後は、落ちるだけだぜ――」

(中略)

「奥義・改――≪天炎神あまのほのかみ≫!!」


【本文引用終わり】


 師匠超え!!!!! これ!!!


 はー、叫んだ叫んだ。つまりそれくらい熱い。今作のMVPです。


 師匠トルネード、正直言うとむしろこの人が主人公です。背負ってるものが多すぎ重すぎ、抱えてる葛藤デカすぎ。苦悩のヒーロー。

 二回目読んだときの、序章の葛藤がめちゃめちゃ切ない。

 「第30話 その者の名は」初読時は叫んだよ、その名を。


【以下本文引用(第43話 最後の修行)】


「来い。最後の修行をつけてやる」


【本文引用終わり】


 おっっっとこまえッ!!

 ちゃんと今世は今世で幸せになってね。ミーナさんをこれ以上泣かすでないよ。



 聖女、と聞くと、普通どんな人をイメージします?


【以下本文引用(第16話 深緑の聖女 より)】


(前略)部屋の外からゴツゴツと軍靴が鳴り、バンと扉を開け一人の女性が入ってきた。


「待たせたな。まったく大司教ジジイどもは話が長くて敵わん」


 黒革の軍服に深緑のマントを羽織り、世界樹の七色の葉巻を咥えたその女性は、ゴツゴツと大股で歩き、円卓の奥席にどかっと座った。ウエーブした長い白髪を左手で無造作にかきあげると、左額に大きなアザが見えた。

(中略)

 見た目は50歳前後といったところか。女性にしてはかなり大柄で、聖女というより歴戦の女将軍といった貫禄だ。聖女様は葉巻を吸い薄煙を一吐きしてから、言葉を続けた。


【本文引用終わり】


 私は何度「聖女様カッコよ……」と思ったか。


【以下本文引用(第30話 その者の名は より)】


がいよいよ陽の下に出る時が来たか(後略)」


【本文引用終わり】


 聖女様ジョーク!


【以下本文引用(同)】


「戻れマグニス」


 ぷはあ、と聖女様が煙を吐く。


【本文引用終わり】


 この場面の聖女様、360度カッコよすぎる。



 さて、聖女様にユウレイと言われたそのお方。

 ユウリイです。

 いやもう、初登場時から絶対好みポジションでさー、でも見た目が好みじゃなくてさー(イケメンきらい)、好きになってたまるかと思ってたんだよー(フラグ)。


【以下本文引用(第22話 撃鉄を起こせ より)】


 ユウリイが向かい風を受けながら白いロングコートをバサッと翻すと、その内側にはずらりと七色の弾倉が差してあった。


【本文引用終わり】


 ベタな演出なんだけどこの仕草がめちゃめちゃ目に浮かぶ。そして絶対似合ってる。イケメンめ。


 そして、


【以下本文引用(同)】


「我は、ユリエスタス・ユリシード!! 外道に堕ちた弟よ――王家の誇りにかけ、貴様を討つッ!」


【本文引用終わり】


 ぎゃーーーー!!! ロイヤルなお人だったーーーー!!!! 翳のあるロイヤルなお人に弱いんだよ……だめだった……堪えきれなかった……。(感想メモの叫び)


 あとはもう、彼に関しては感想メモそのまま載せます。


【以下感想メモコピペ】


第39話 人の心がある故に

・ニドとユウリイ……(泣)熱い絆が……なんという(泣)(泣)ユウリイの登場カッコいいな!! イケメンめ!!!


第41話 斬れ

・斬った!!!! ユウリイ派としては今話のタイトルに泣ける。ここでニドのために奥の手全部出し切っちゃうユウリイ……尊い……。


第42話 幻光の謀略

>ユウリイのコートを羽織ったヨナは、

・勝手な妄想だけど、服もなくどうしたもんかと内心焦るニドを横目に、絶対スマートに自然に羽織らせてるよねユウリイが。弾倉使い切って軽くなったしね。こういうとこナチュラルボーンプリンス。


第54話 奈落行きの片道切符

>ユウリイはヨナに貸したコートの内ポケットから救急具を出し、包帯と傷薬で手際良く止血を行う。

・ド◯えもん……!


>やれやれ……暴走する君の後始末は、いつだって僕の役割だ。

・一歩引いて弁えてるこのポジションが!! 見誤らない賢さが……!! くううっ!!(もだもだ)


【コピペ終わり】


 もだもだ。

 しごできティエラさんには報われてほしい。


 ユウリイの相棒とも言えるニド。彼もまあ大変に熱いキャラで。

 愛想はないしぶっきらぼうでガサツで怖いんだけど!


【以下本文引用(第21話 残酷な希望 より)】


「ごめんなさい……私、叩いたりして」

「てめえの平手なんざ、痛くも痒くもねえ」


【本文引用終わり】


 ほんとはやさしいってわたししってる……!!


 彼はよく背中で語ります。ニドはいつも振り向かない。緊迫した状況で振り向けないときと、照れて振り向かないときがある。自分の前しか見てない男です。

 ニドは物理的に強くて、ひたすらに「剣でぶった斬る」しか考えてないのが潔いです。


【以下本文引用(第56話 皇帝バーディス より)】


 昇降機の扉奥から轟音が響き、扉の隙間から灰煙が漏れる。遥か高みから飛び降りて鉄製の昇降機を踏み潰し、扉をこじ開けて現れるは、黒鱗の剣士。


【本文引用終わり】


 笑っちゃうほど力技。


【以下本文引用(第62話 落陽に染まる終幕 より)】


 崩れた城から激しい破砕音が響き、瓦礫が飛散する。中から顔を出したのは、灰砂だらけの黒き剣士――!


【本文引用終わり】


 このあとのセリフも含めてニドは最後までニド。

 彼も本当に一途で感動します。


 ルクレイシアの氷の異能に対抗するために、ニドの異形の力が内から肉体を補強していく/ラストバトルでアーシャを助けるために、炎に巻かれながらもダニーの異形の力が内から肉体を補強していく、っていう対の構成が個人的にエモいです。



 こんなに悪役が絵面的に映えるファンタジーが他にありますかね!?

 徹頭徹尾ルクレイシアが美し怖いのです。


【以下本文引用(第25話 心の隙 より)】


 疑念と期待に心が渦巻くニドの目前にルクレイシアが歩み寄り、動かぬ頬にそっと白く細い指を這わせた。


「……可愛いコ。この灰色の世界で、まだ愛を信じているのね。――その心、全部黒く塗り潰してあげる」


 ルクレイシアはニドの耳元に紅の口唇を寄せ、囁く。


【(第61話 想いの果て より)】


「あーつまんないの。望んでないのよね、そんな展開」


【本文引用終わり】


 ラスボスキターーーー!!!! 前話、前々話からの絶望感の落差ーー!!!!!(感想メモの叫び)

 ここの登場はいかにもラスボスでした。こっわ。

 ここまで純粋な悪役なかなかお目にかかれないのではないでしょうか。ブレず迷わず、自分の美学を貫いている姿勢が大変によいです。



 最終話のタイトルが、第1話のタイトルと対になっているのもエモいです。


 あ、あと、レイニー=バードにはお礼を言いたい。アーシャの命の恩人だし。


 これは余談ですが、ローエンはアーシャのことが好きだったらいいな〜って思ってます。舞台に上がれずライバルにすらなれなくて(ゴンスよりも)、人知れずひっそり失恋してちくしょうってなりながら仕事に生きてほしい。

 ダニーが仕事で怪我したときなんかに「クソッ」って思いながらテキパキ治療して、「ほらよ!」って包帯の上からペシッと叩いて、ダニーに「いてっ!」とか言わせてほしいです。平和。



 過去イチ本文引用からめっちゃ叫んだ感想でした。大変失礼しました!


 おもしろい物語をありがとうございました!!

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