薄暗い命運でも支え、生きる中で、それぞれの想いは交錯する

死に際の当事者の記憶を読み取る能力の持ち主たる少女、梟(オウル)。
まず彼女の抱えるものの重さや複雑さが、全編を通しそのままに伝わってきます。その絶妙な描写が、この作品の大きな魅力の一つかと思います。

オウルの仲間にもそれぞれの過去や想いがあり、彼女の抱える想いと重なり、交錯し、読み進めるにつれ驚くような連鎖を起こしていくのもミソ。
そして8つの癖のあるお題の使い方も秀逸。蟹味噌万歳。

ほんのりと恋愛もあり、ダークな部分はしっかりと重い。その分明るかった時間は尊いし、穏やかな時間は噛み締めさせられる。
切ない故に暖かく、薄暗い故に明るく見えるものがある。
物語の構想から心情描写から脱帽ものです。是非ご一読を!

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