第6話 Oh、女神サマ
1.
季節は秋、それでもなおも残暑続く日々が続いている地上。
オリュンポスの3馬鹿もとい3柱は快適な日々を相変わらず過ごしていた。
だがその平穏も唐突に崩壊するかの如く“それ”は訪れる。
ピンポーン!ピンポーン!!とインターホンを(一応間隔を置いてはいるが)連打している。
ポセイドン「うるさいな~はいはーい、ちょっとお待ちくださいよ~」
ポセイドンはそう言いながら室内のインターホン親機へ向かい、スイッチを押して玄関の外への人物を見やる。
???『待ったなし!!!』
ポセイドン「うおわぁ!?」
押した途端、大きな声が爆発の様に感じ吹っ飛ぶポセイドン。
それを聞いたハーデスとゼウスがすっ飛んでくる。
ゼウス「どうしたポセイドン」
ハーデス「音量最大にしてもしてたのかやかましかったぞ?」
ズッコケたポセイドンの代わりにハーデスはインターホンの画面に顔を向けた。
そこにはブロンドヘアーの長髪の美女が立っていた。
ハーデス「おまえ、アテナか?」
2.
アテナ「突然の来訪、申し訳ありません。事前にメールなどで連絡すればよかったのですが」
ハーデス「いやそれはまあ別に良いとして一体どうした急に?」
室内に案内してコーヒーを出して彼女が来た理由を聞くハーデス。
ゼウスとポセイドンは部屋の隅っこで二人の話を聞いていた。
アテナ「そこの2柱は何故私から離れているのですか?」
ゼウス「え、いやぁ…」
ポセイドン「う、ぐぅ…」
アテナの問いに歯切れの悪い返事をする2柱
ハーデス「ゼウスはともかく、ポセイドンはアテナの神殿で酷いことしたからな」
アテナ「ああ、あの件ですか。ホント最低ですよね。仮にも海の神が他人の神殿で
あのような行為をすること自体が問題だと思いますが?」
ハーデス「まあ確かにな」
ゼウス「巻き添えになったゴルゴーン姉妹が可哀そうだよな~」
ポセイドン「せめてフォローしてくれよおまえら」
2柱『無理』
この容赦の無さ。自業自得である。
3.
話が逸れたのでアテナは話題を戻す。
アテナ「さてどうして私が唐突に下界に降りた上でここに居るのか、でしたね」
ハーデス「ああ、向こうで何かあったのか?」
ゼウス「まさか、ヘーラーが何かしでかしたのか?」
アテナ「いえ、むしろずっと父上の動向をSNSで見てニヤニヤしておりましたよ」
ゼウス「四六時中監視じゃないですかヤダー!!」
ムンクの叫びみたいなポーズをするアホは置いといてハーデスとアテナは話を続ける。
アテナ「実は私たちはしばらく地上で生活することになりました」
ハーデス「私たち?他にも来てるのか?」
アテナ「はい、私以外にはヘルやアマテラスが来てます」
ポセイドン「ちょっと待ってなんでそんな関わりの少ない面子で来てるの?」
ポセイドンの疑問ももっともだとハーデスも頷く。
そこにアテナはきっぱりとその理由を言った。
アテナ「単純な話です。同人誌を漁るためにです」
3柱『・・・・・・・・・・・・・・・・は?』
4.
一瞬、思考が止まってしまった。
同人誌、あの処女神なアテナが?そんな疑問を解決する様に彼女は口を開ける。
アテナ「疑問ももっともですが別に私はそっち系の話ではなく、所謂ノーマル的な感じの同人誌に興味を持っただけです」
ハーデス「差し支えなければ理由を聞きたいのだが?」
アテナ「単純にですが下界のサブカルに興味が湧いたということですね。
ヘパイストス神が下界で入手した武器などの一覧を記した同人誌を見せてもらったのが理由ですね」
ゼウス「アイツ、いつの間にそんなものを…」
アテナ「それで下界に降りようとしてどんなものがあるのかリサーチしようと思い、
ヘルたちがそれを聞いたようで相談に乗ってくれましたので」
ポセイドン「明らかに人選間違えてないかな?」
アテナ「そういう訳でしばらくは地上に滞在します。あ、これ引っ越し蕎麦です」
ハーデス「このマンションなのか?越したのは?」
アテナ「はい、ヘーラー神から父上の監視も兼ねて下の階を購入しました」
ゼウス「サラリと監視役を暴露しないでくれる?パパ泣いちゃう」
ハーデス「キモいからやめろ」
アテナ「気持ち悪いです」
ザクザクと切り刻まれて落ち込むゼウスを余所にアテナは玄関へと歩みを進める
アテナ「それでは私はこれで。今後ともよろしくお願いいたします」
ハーデス「もう行くのか?」
アテナ「はい。まだ荷を解いていないのと私がいないとヘルとアマテラスが談義を始めて
引っ越し作業が終わらないと思いますので。近々3柱で挨拶にきます」
それでは、とアテナは部屋から退出していく
ハーデス「また賑やかになるかもしれんな」
ポセイドン「その内、オーディンとかも来るんじゃね?」
ゼウス「休暇もへったくれもないなぁ。今更か」
ハーデス「さて昼食にするか。引っ越し蕎麦も貰ったしな」
ポセイドン「ちくわ天喰いたい~」
ゼウス「俺はかき揚げー!!」
ハーデス「わかったわかった…やれやれ、これが更に騒がしくなるか…フフッ」
秋の雰囲気を感じながらも神々の地上の生活は益々賑やかになっていくそう感じる時であった
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